第3話 書いてみて初めて分かった事

日記

2022年8月6日

 あきらかに初心者の私だが、小説投稿サイトにライトノベルの投稿を始める。

 そして、あの人にそれを話し読んで貰える事となる。

 感想は厳しいものだったがとても為になるものだった。

 修正も含めて続きを頑張ろう!

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 あれから2日経って、私はまた亜衣に小説の感想を聞いていた。


「随分読み易くなったんじゃない?」


 私はドヤ顔で言う。


「確かに多少は読みやすくなったね」


 お♪好感触では?


「でもね・・・。何で会話文の頭に名前がついてるの?」


 私は無意識にキャラクターの名前を書いてから会話を書いていた。


「あれ?そう言えば何でだっけ?」


 あ!そうだ。MMORPGのゲームのチャットウィンドウだと

まず名前が出て会話が続くのだ。


「そんな小説を見たことある?」


 確かに見たことないなぁ。


「ダメかな?分かりやすいかなぁって思ったんだけど・・・」


 見やすいのは見やすい気がする。でも確かに小説っぽくない。


「ライトノベルは自由度が高いから決まったルールは無いし、

絶対にダメって訳では無いと思う」


 亜衣は言う。そうなのかぁ。


「でもだからこそ明確な意図と意味を持って独自性を出すべきだと思う。

 見やすいって理由は分かるけど、それって逃げてない?」


 う・・・。私は痛い所を突かれたと思った。

 実はこれが無いと誰が喋っているのか分かりづらくなるのだ。


「ゲームっぽい舞台のファンタジーだから敢えてやるならそれもありかなぁとは

 思ったけど、でもこれ無くしたら誰が喋ってるか分からないよね?」


 バレてた・・・。


「仰る通りでございまする・・・」


 私は反論の余地も無かった。


「敢えてやっているのかそうじゃ無いのかの違いって何だと思う?」


 亜衣は意地悪に質問をしてくる。


「意図してるか、してないかの違い?」


 私は思い付いた通りに答える。


「んーそれもあるけどもっと大事な違いがあると思うの。

 結局それ無しでも出来るか、出来ないかなんじゃない?

 出来るのに敢えてやらない。これじゃないとカッコ悪いんじゃないかな?」


 私は目から鱗だった。この子は本当は私より年上なんじゃないか?

 もう先生とお呼びしたい!


「その通り!私は無しで書く事にする!とりあえず一回修正してみるね♪」


 この子は何でこんなに詳しいのか・・・。

 まさか私の為に色々調べてたりして。

 それとも実は亜衣も小説をこっそり書いてたりして?

 まぁ、追求しても仕方ないか。


「相変わらず無駄に行動力があるし、変に固執しないのが凄いな。

 まぁそれは多分良い所なんだろうけど・・・」



 それから次の日。


「修正したよ!見て頂戴♪」


 私は書くのが楽しすぎて急いで修正をしていた。


「更新ペース早すぎない?無理してやっても続かないよ?」


 無理なんてしていない。むしろ書かない方が辛い。


「と言うか投稿サイトに書いてるんだから直接言わなくても

 いい気もするんだけど・・・」


 あ・・・。まぁでも直接感想聞きたい。サイトに書くより

 遠慮なく言って貰えそうだし。

 あれ?酷評が癖になっている気がする。むしろ快感?

 ダメだ。はやく何とかしないと・・・。


「まぁでも余り辛辣な内容を投稿すると私の印象が悪くなりそうだし丁度いいか」


 確かに。私と同じ快感を覚える人から

執拗にコメントを求められるかもしれない。

 亜衣は私のだ。誰にも譲らない。


「何か不穏な空気を感じたわね。おかしな事考えてたら読まないよ?」


 エスパーなの!?むしろ言葉に出てた?


「今私、口に出してた!?」


 私は心配になって確認する。


「語るに落ちたね。おかしな事考えてたんじゃない」


 策士か!?読んでくれないと困る。

 主に私のモチベに関わる。上手く誤魔化さないと。


「違う!えっと酷評は望む所なんだけど亜衣が嫌じゃないかなって」


 我ながら上手い誤魔化しなのでは?


「あー、私もそこそこ楽しんでるから気にしないで良いよ」


 亜衣は亜衣でそっちに目覚めt・、、いややめておこう。

 

「で今回のはどうかな?ちょっとは小説っぽくなったんじゃない?」


 私は自信満々に言う。


「んー、まぁ見易くはなったわね。でも急いで直したのもあるだろうけど

 『誰々が言った。』『誰々が笑った。』みたいな端的な表現が多いね。

 でもこれは一朝一夕で出来るものじゃないから

経験値を貯めるしかないんじゃない?」


 私は確信した。亜衣は小説を書いた事がある。

 もしくは小説を書く事に関与していた。

 何故隠しているのかは分からないけど言いたくない事なのだろう。

 私は気づかないフリをする事にした。


「あと環境や景色、動きの表現なんかが少ない。

 この辺は作風や好みもあるけど書ける様にはなっておいた方がいいね」


 書いてみて初めて分かった。

 書く人は、こんなにも色々な事を考えて書いていたのだと。

 何気なく自分でも出来るのでは?と軽く始めたのが少し恥ずかしくなった。


 でも、誰でも最初は初めてだ。一歩踏み出す事で見えた事がある。

 恥ずかしいよりも誇らしくあろう。

 

「いつもありがとうね♪また修正頑張るよ!」


 私は素直にお礼を言う。


「無理しすぎない様にね」

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