第29話 絶妙なポジション
14.絶妙なポジションいただきました!!!
「人手が足りないのは本当なんだ。君はロイドとチームを組んで運動部の予算の確認とチェックを頼みたい」
こちら生徒会室、業務一日目。
本日より生徒会役員としての責務を果たしてまいりたいと思います。
生徒会室に入室するための魔力判別登録などをす目で済ませてから、冒頭のセリフです。
やっっった!!!!!
アルフレート先輩のロイヤルスマイルと共に告げられた内容に私は心の中でガッツポーズをした。
ここで一番のターゲット、ロイド先輩とチームを組んでの仕事だって!
偶然~というか実はちょっと期待していました!
もともとインテリ眼鏡のユージン先輩にはナターリア先輩がいたので、足りてないのはロイド先輩の方かな、って思ってたんだよね! 狙い通り! ふっふふふ、さすがにこれくらい勝率が高くなければ引き受けませんて~。
「俺はこういった書類の作業があまり得意ではないのでよろしく頼む」
『体育会系の優しい筋肉騎士』と評判のロイド先輩は、一学年下の私にも丁寧に頭を下げた。
律義でまじめ。横柄なインテリ眼鏡とは違うそういう紳士なところがとても好印象! 攻略対象の中では安定して好きなタイプでした! ありがとうございます!!
蛇足だけどもユージン先輩はツンデレ系がお好きな方に人気がありましたよ。この辺はプレーヤーの好みですね。
「はい。こちらこそよろしくお願いいたします」
ロイド先輩との初会話!
昨日からドタバタしていたけれどちゃんと会話するのは初めて。
ずっとストーキングをしていたから、よく知っている相手なのに初めて会ったような感じもする。
「机はこちらだ、備品もある。分からないことがあればいつでも聞いてくれ」
「はい、ありがとうございます」
さすが生徒会。一般教室にはない魔道具がたくさん置いてある。
この世界、中世ファンタジーっぽい世界観の割にはわりと魔力によって文明が発展していているんだよね。
あの背景スチルでしか見たことがなかった魔力で動くパソコンみたいなやつとか、あれちょっと興味あったんだよね。
うん、まあ現代社会だって構造よく分かってないけど使ってる便利なアイテムいっぱいあるし、その辺はあえて突っ込まないけれど。
「大丈夫そうか?」
「…そうですね、ひとまずは大丈夫そうです」
一通り仕事の説明を受けた訳なのだけれど、まあ何とかなりそうという感じ。
このパソコン(仮)だってロゼッタの記憶の中では一度も使ったことが無いけれど、まあ何とかなるでしょ。ワープロとかパソコンとかとたぶん同じ様に使える気がする。
さすがにロゼッタの記憶にも学校行事にかかる費用なんかの知識は無いけれど、そこはほら、私の(大したことない)社会人経験でなんとかカバーすればね。
こういう時ほんと『よかった、ここが日本で作られたゲームの世界で!』って思っちゃう。
思考の根底が日本人と同じで良さそうなのって大分助かるよね、ほんと。それにこういうのはだいたい去年と同じにしとけば問題ないんだ!(暴論)
「ところでロイド先輩こちらの書類の納期はいつなんですか?」
「…すまない。今週の土曜だ」
なるほど、思ったより時間が無い。
学生の放課後で、業務時間に換算すると正味8時間ぐらい? まあギリいける。
っていうかあれ、デジャヴ。
私この会話知っている…かも。
「あっ」
そうだ!
これヒロインが生徒会役員になったときのロイドルートの会話だ。
あれ?
突然の事実に私はしばしフリーズした。
…えっと、私たちほぼ初対面なんだけど!? なんで?
キャロル先輩がたどる予定のルートを私が…??? …なんてことある?
いやいや無いって。
落ち着け私、そんなはずあるかい。
「俺が書類を貯めてしまったんだ。すまない、すぐにでも着手してもらえると助かる」
「あ、はい! それは大丈夫です」
私の硬直を納期のせいだと思ったのか、ロイド先輩はひたすら恐縮している。
いや、ロイド先輩のせいでは無いんだけどいやロイド先輩の事だけど。
(うーんと…)
つまり、この方、ヒロインでも違う人でもほぼ態度を変えないってことなんじゃいないだろうか。
例えば彼は、私でも一般生徒でも他の誰でもきっと彼は誰にでも同じように接するんだろう。
そういえば、ロイドルートは後半になってからの方がラブ要素が強かった気がする。最初はのらりくらりと『いい天気ですね』みたいなほんわかとした会話しかなかったけれど、後半、ルート確定してからが怒涛の本編、シリアスなストーリー展開の中でいろんな萌えシチュエーションがあった。
なるほど~~、そうなると序盤では全然見分けがつかないんじゃない。
ロイド先輩はキャラクター設定でも寡黙で誠実、裏表のない性格で紳士となっていた。
…どっかの王子と違って。
あー、でもそういうとこ素敵だよね。
キャロル先輩が好きになっちゃうのも納得。
お兄様にとっては本当に、ものすごく強いライバルだ。
ため息が出ちゃう。
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