第15話 育成アイテムゲットだぜ!
目的地、シルヴィ君の【魔道具のお店】到着。
来るのが早すぎてまだ店主のシルヴィ君がいませんね。
彼も授業が終わってから来るのだから、そりゃそうか…。
「あの、品物を見せてもらってもいいですか?」
「もちろんどうぞ」
店番のお兄さんに一言声を掛けて商品を眺めていく。
ペンダントにブレスレット、キーホルダーなどアクセサリー系がきれいに飾られている。
やはり元が乙女ゲームのせいか女性が喜びそうなラインナップが多い。
(ふむ…)
実際に商品を眺めてみると、いろんな効能があって迷ってしまう。
「あの、ちょっと手に取って見てもいいですか?」
「かまいませんよ」
『炎のペンダント』
・火魔法+15
・火属性パラメーターUP(小)
最近気が付いたんだけれど、どうやら私はアイテムを一度装備するとその効能が分かるみたい。ステータスを見ることができる能力の応用なのかな? 一度手に取って装備するという手間はあるけれど、この能力すごく便利。
品物の状態もしっかり分かるので、想像以上に生活でも役に立ちそう。卵を手に取った時に『新鮮』とかって表示されたときはちょっと笑ってしまった。
これもある意味チートだわ。
「こんにちは、お姉さん。熱心に見てくれてありがとう」
「!」
夢中になって商品を見ていると後ろから声が掛けられた。
「はい! あれっ」
振り返ると、そこには営業スマイルを浮かべたシルヴィ君が立っていた。
おお、美少年!!!
商品に集中しすぎて気づかなかった!
「お姉さん隣のクラスの人だよね。一番にボクの店に来てくれてありがとう」
シルヴィ君がぺこりと可愛く頭を下げる。
年齢不詳のシルヴィ君は小柄なロゼッタよりも頭2つ分くらい小さい。
ひえっ!!! 可愛い~!!!
天使の笑顔の迫力~~~!!
「あっ、ええと、いえいえ! シルヴィ君のお店素敵ですね!」
「あれ? ボクお姉さんとご挨拶したことあったかしら?」
し、しまった、つい!!
いつも『シルヴィ君』て呼んでいたのでとっさに出てしまった。 まだ出会ってもいないのにいろいろ知りすぎているのは不自然だよね。
ていうか、私演技がダイコン過ぎぃ!! このままだとボロが出ちゃう!
「申し遅れました! はじめまして! わたくしロゼッタ・イオリスと申します! わたくしは1-Bなのでお隣ですわ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそ! ご丁寧にありがとう。ボクはシルヴィ = アルダーといいます。1-A組です。よろしくお願いします」
そう言ってシルヴィ君はにっこりと笑う。
あああああ、天使の笑顔かんわいい。
たとえ営業スマイルだって癒しの効果は抜群だ!!
彼は同級生だけど、飛び級なので実際の年齢は公式でも公表されていない。目測で9~11歳くらい?? 背も私よりも頭一つ分小さい。
肌が透き通るように白くて、キラキラしたおめめもこぼれ落ちそうなくらい大きい。
天使って本当にいるんだわ…。感動。
「お姉さんはどんなアイテムを探しているの? ボクアドバイスするよ?」
あ~、ゲームのセリフとおんなじ! 感動!!
そうなんだよね、こうやってシルヴィ君はお店でアドバイスをしてくれるんだよ。プレイヤー時代にいつもお世話になりました!!
シルヴィ君の『ありがとう』が聞きたくてマーケットには毎回通ったわ。
ゲームと同じ事がリアルに目の前で起こるなんてゲーマー冥利に尽きますね!
笑顔のシルヴィ君につられてこちらまでにっこりだ。
「見たところ、お姉さん水の属性を強めたい感じ?」
「はい! その通りです!」
私が手にとって眺めていたアイテムから察したのか、さすがシルヴィ君! アドバイスも的確です。
乙女としてはどうかと思うが、ぶっちゃけ今は性能重視! シルヴィ君がおすすめしてくれるならそれを買います!! 時短にもなるし、今日のお買い物はさくっとすませて早くストーカー業に戻らないといけないので!
「そうだなあ…、じゃあこの辺のアイテムとかおすすめかなぁ…」
そう言って差し出してくれたシルヴィ君が差し出してくれたのは水魔法の魔石が使われたしずく型のペンダントだった。
え、普通に可愛い。うれしい。
「ちょっと見せていただいてもよろしいですか」
「いいよ、はい」
手にとってそのペンダントを確認してみる。
『雫のペンダント』
・水魔法+15
・水属性パラメーターUP(小)
うーん、さすが、ドンピシャリのお品です。ありがとうございます。
そしてやはり高性能なだけあって、そこそこ良いお値段しますね。
…うん大丈夫です、予算の範囲内ですので。
これを自分とお兄様の分で二つと、あとお兄様用に「幸運ウサギのストラップ 幸運+7」も外せない。
…ちょっと可愛いすぎるかしら…、お兄様身につけてくださると良いのだけれど…。
乙女ゲーのデザインなんだもの、可愛くても仕方ないよね。お兄様が嫌だと言っても絶対に身に着けてもらいましょうね。
私の装備枠があと一つ残っているけれど、ひとまずこれで様子見とするかな。なにせシルヴィ君のお店、ランダム要素が多くって破邪の剣みたいなアイテムが突然売り出されたりするから油断がならない。来るべき日のためにも貯めておかないとね。
「では、こちら3点いただきますわ」
アイテムの代金を支払うと、シルヴィ君はにっこりと笑って商品と一緒に小さなストラップをくれた。
「今日一番にボクのお店に来てくれたお姉さんにサービス!」
「え?」
綺麗なピンク色の石で作られた小さくて可愛らしいストラップ。
「これはね『恋のお守り』意中の人とちょっとだけ仲良くなれるアイテムだよ。大事にしてね」
あっ!! これ本日の重要イベントアイテム!
私にもくれるんだ!!
『恋のお守り』
・親密度UP(小)
おお…私には見えないけれど親密度って項目もあるんだ…。
「ありがとうございます。でもわたくしが貰ってしまっていいんですの?」
「いいよぉ、本当は常連さんにあげる予定のものなんだけど、お姉さんは一番に来てくれたから特別! ぜひまた来てね!」
「はい! また来月必ずまいります!」
はじけるお星さまのような笑顔に思わずこちらもにっこりしてしまう。
シルヴィ君商売上手~!!!
これは絶対また来ちゃうし、お得意さんになるね!
元々毎月チェックするつもりだったけれど用が無くても来ちゃうかも。
今度はシルヴィ君にお菓子持って来よう。たしか公式設定でゴマのお菓子が好きってあったからね。
「ありがとう! あ、お姉さん、ボクのことは『シルヴィ君』って呼んでくれていいからね! またね!」
あっ…と、やっぱり忘れてなかったか。
天才児、流石です。
ボロが出てても出て無くてもセーフだったみたい、良かった(いやボロは出てたでしょ)。
と、まあ無事に買い物を終えた私は、マーケットで飲み物とサンドイッチを購入し、奥に備えられている飲食スペースへと向かう。
さて、ここからが本命本番、張り込みだ。
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