第2章 私の精神がヤバク




さて、私はランキングと言うモノを調べてみる事にした。



しかし、その当時に懇意にして頂いていたカクヨムの先輩方に尋ねてみても「ランキングの順位の決め方 ? 知らないなぁ」と言う方が殆どだった。


「知らない」と言うよりも「判らない」と言った方が正しいのかも知れない。


それで私は改めてランキング表と言うモノを見てみた。


そして今更ながら絶句した。


上位に居る方々の★の数に。


「は ? 1000を超えてる!? マジで ? 」


そして、こんなタイトルが踊っている作品もあった。


「え ? 祝100万PV突破って‥‥‥ひゃ、ひゃ、ひゃ、ひゃくまーん!! 」


私は泡を吹いて卒倒した。


どちらも私には天文学的な数字だった。

ムリムリムリムリムリ。

しかし、よく見てみると「総合」と書いてある。


そして「総合」の横をクリックすると色々なジャンルが出て来た。

更に「日間」「週間」「月間」「年間」「累計」と言う単語も羅列してある。

そこで、やっと色々なジャンルの期間ごとの順位が表示される事を理解した。


私は自分が書いている作品のジャンルの「週間」を見て、私の作品の順位が380位くらいである事を初めて確認した。

ジョークだと思われるかも知れないが、私は本当に自分の作品のランキング順位などには興味が無かったのである。

そして、ランキング上位の方を見てみた。


意外な事に★20くらいの作品を週間50位以内の中にちらほらとお見かけした。

これなら私でもランキング上位に入れるかも知れない。

私の胸の中に小さな灯が灯ったように感じた。


私は「自主企画」なるモノがある事は知っていた。

それを見て行くと「読み合い企画」と言うモノもある。

これで私の方向性は決まった。


相変わらずランキングの順位がどのようにして決められているのかは判らなかったが、とりあえず「読み合い企画」に参加して他の作者さまの作品をたくさん読んでみようと思った。

読んだ作品は応援して、その作品が私の中の「基準値」を満たしていたら★評価をつけたり「コメント」を書いたりして行こうと。

そうすれば私の作品も、もっと沢山の人に読んで貰えるかも知れない。


私は自分の作品が応援して貰えた時は素直に嬉しかった。

★評価を頂いた時は喜びに満ち溢れるようだった。

ワケの判らないランキングの事はひとまず置いておいて、私はこの嬉しさと喜びを共有したいと思ったのである。



最初はランキング順位から始まったが、いつしか私はこのカクヨムに投稿している同士とも言える方々に喜んで欲しいと思うようになっていた。



それから私は無理のない範囲でこれまでより多い作品を読み始めた。

その頃の私は今までがそうだったように、私が作品を応援した作者さまは私の作品も読んで応援して下さると思っていた。「読み合い企画」に参加しているのだから尚更に。


しかし、現実はそうでは無かった。


愚かな私は以下の2点を失念していた。



人にはそれぞれの都合や事情がある


人はそれぞれの価値観を持っており他人に自分の価値観を押しつけてはいけない



こんな当たり前の事を私は失念して、愚かで異常な妄信に囚われ始めていた。


上記したように人にはそれぞれの都合や事情や価値観がある。

読んでくれた人の作品を読むかどうかはその作者さまが決める事であり、それを不満に思うような事は絶対にしてはいけない。読み合いは義務では無いのだから。単に私の作品が読みたいとは思わないし★評価に価しない作品なのだから。

こんな当たり前の事が判らなくなるくらいに私は異常に妄信していた。


今になって思えば、この頃から私の精神は病み始めていたのかも知れない。


そして更に、それに追い打ちをかけるような現象が発生した。

そう、全ての発端となったランキングである。

12月の2週目くらいに私の作品が週間ランキングで27位になった。


当時の私は狂喜乱舞した。

私はこれまでより遥かに多い作品を読み始めた。勿論、私の作品を読んで頂いた作者さまを優先し頂いたコメントには全て返信した。特に気に入った作品にはコメントを残した。週に1度の投稿も続けた。

睡眠時間を削って。


私は数年前から、とある事情により睡眠障害になっていた。

これは私のプライバシーに関係してくるから詳しい事は書けないが、要するに睡眠が上手く摂れないと言う事だ。

そんな人間が睡眠時間を削ったらどうなるのか ?



その末路は火を見るよりも明らかだった。







つづく

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