3‐7女官と廃皇子は寄りそう
「民は食をもって天をなす、とはよくいったものだな」
「そういう意味では、
今の政に不満を懐き、革新を臨む若者が同調しやすいということだ。
「
「皇帝は、……堅実な御方だったからな。まあ、皇帝としては問題のある男ではなかったとおもう」
「そうそう、完璧な
息子という立場だからか、
だが、皇帝が崩御してから約十四カ月経っても新たな皇帝がきまらなかったわけが、これで妙にも明確に理解できた。
支持層の違いがあれど、錦珠と星辰は予想よりもはるかに拮抗しているのだ。
提燈のあかりを映した紅の髪が、うす暗がりのなかで燃えていた。百日紅より華やかな男。廃嫡でさえなければ、すぐにでも皇帝は累神にきまっただろうと妙は思う。
「俺はひとまず、
「あんたの考えはどうだ」
「累神様に同意ですね」
彼が尋ねてくれることが嬉しくて、妙は頬を綻ばせた。
石畳を敷かれた路に伸びた影は、寄りそっている。ふたつの影は満天の星に照らされて、どこまでも一緒に歩いていった。
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