2‐13第三皇子あらわる
「相変わらず大繁盛だな。はじめてきた時の倍になってないか」
「後宮にいると、日頃から神経をすり減らしますからね。競ったり、妬んだり妬まれたり、馬鹿にしたりされたり。体調を崩す人もそりゃ多かろうですよ」
入梅を過ぎてからは、時々雲から日が差す程度で雨続きだった。
雨の時は薬水も造れないため、久し振りの晴天に
調査にきた時からは約十五日が経ち、
「ほんとに私も一緒じゃないとだめですか」
「それは喧嘩した側の責任だ。俺には関係ないな」
「うう、薬は貰いませんからね!」
「わかったわかった、帰りに揚げ
「う、毎度それに乗るとおもったら」
「乗ってくれないのか」
「……乗りますけど」
揚げ鶏に惹かれたのは事実だが、
彼女は非常に危うい。人助けという言葉を盾に嘘を正当化しているからだ。
その時だった。
「……
混雑のなかに知人を見掛けたらしく、累神が袖を振る。相手も宦官に扮していた累神に気づいたようだ。人混みを離れて近寄ってきた。
幼い少年だ。十三歳ほどだろうか。
痩せすぎといってもいいほどに華奢で、夏だというのに、厚い
「
累神を
「
「母様に連れられて。
「いや、俺は調査があってな」
「おまえこそ、また体調を崩しているのか」
「変わらずです。御典医からは、産まれついてのものなので落ちつく時期はあってもよくなることはないだろうと。ただ、母様は納得できない様子で……特にこの頃は」
「
「いや、彼女は俺の女官ではないよ。もっと、たいせつなひとだ」
「え……あ」
どう受け取ったのか、星辰が頬を紅潮させた。
「たっ、たいへん失礼いたしました」
第三皇子に頭をさげられ、妙がひえっと後ろにさがる。
「
「
愛想笑いではなく、心から
累神もまた、星辰を可愛がっている様子だ。第一皇子と第三皇子というと、ばちばちに競いあっているものだと想像していたので、妙は意外におもった。まあ、
それにしても、と妙は
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