12 後宮の鴛鴦姐妹
後宮には
この姐妹、外見の差がとにかく激しいのだ。
ご存知だろうが、鴛鴦の雄は
この
嬪たる妹は天に愛された美貌の持ちぬしで、艶っぽい睫毛に二重の瞳、雪を欺く肌にうす紅の唇が映えて咲き誇る
姐妹でこうも違うなんてねえと妃妾たちは揃って、囁きあっていた。神様とやらは不平等なことをするものだと嘲笑を織りまぜて。
だが、繰りかえすように姐妹はいたって、睦まじかった。
(でも、
首吊り偽装の殺人事件の後が、眼球切り裂き事件だ。
あろうことか、その事件の犯人を捜しだせというのが
というわけで、
さすがに下級女官では、嬪に逢わせてもらえないだろう。
「
「ああ、あなたが例の。
嬪つきの女官は嬉しそうに通してくれた。
嬪の宮はさすがに豪奢で、香炉に屏風に
(
下級妃妾に個々の宮はなく、六名毎にひとつの宮を与えられ、御妻の職務をこなしながら皇帝の御渡りを俟つ。そうはいっても御妻のもとに皇帝が訪れることはほぼなく、後は高官に気にいられるかどうかだ。
眺めていて、気になることがひとつ。庭に植えられた桃の枝を、女官たちが払っていいた。庭の管理は宦官の役割のはずだ。
「宦官はおられないのですね」
「
だからすれ違うもの、みな女官ばかりなのか。嬪を襲った男は、侵入者だといっていたわけも、これでわかった。
廊を進んでいくと嬪の房室の前がやけに騒がしかった。女官が廊の角で足をとめたので、妙もそれに倣う。
「
「案ずるな。またすぐに、君に逢いにくる」
覗いてみれば、
ほかでもない
華は何処までも、華。
かたわれがいなくなっても、
(でも、意外だな)
「あの武官様はどなたですか」
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