7 占い師に嘘は通じない
「貴方、嘘をつきましたね」
「……な」
誰もが息をのみ、
「なによ、それ!」
疑われた
「言いがかりはやめてよ! 嘘なんかついていないわよ」
胸を張っていいながら、
「その言葉がまず、嘘ですね。占い師に嘘は通じません。私には神と祖霊がわんさか憑いていますから」
強張った頬をゆがめて、小紡は女官たちを振りかえると声をあげた。
「こっ、この占い師が
女官たちが困惑して顔を見あわせる。
「無理ですよ。大通で働いておられた占い師さんにできるはずがありません。それに宮に部外者が侵入してきたら、衛官が気づきます。
紅潮していた
「小紡さん、さきほどから左側の袖に触れておられますよね。房室に帰って早々に着替えたいのでは?」
嘘だ。彼女が袖に触れたのは、今だけだ。
だが、冷静さを損なった小紡は、咄嗟に袖を隠すようにした。
「縊死された
こちらですと差しだした。
「確かにこれは、私たち女官の服の」
「……
「まあ、破れているわ」
彼女の袖は予想どおり、破れていた。ほつれた布地からは赤い糸が垂れている。
それだけではなかった。
「これ、
「まさか、盗んだの!?」
袖から取りだされたのは真珠の
「これで謎が解けましたね。なぜ、
酷い話ですといってから、
「
ですが揉みあっているうちに貴方は娟倢伃の首を絞めあげて、殺害してしまった。動転した貴方は咄嗟に彼女が自害したことにしようと想いつき、木蓮の枝につりさげた」
「占い師の話を後から聞いて、これ幸いとおもったのではありませんか?」
「ち、違うわよ」
だが
「これは
「そ、それは……」
女官たちが騒めいた。
理にはかなっていても、一連の推理は、推理に過ぎないのだ。
「ほら、私は無実よ!」
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