冬至




 恨み辛みをずっと抱いていた。

 おまえさえ。

 おまえさえ居なければ俺はさっさとこの世からおさばらしていたと思う。

 おまえさえ居なければ。

 俺はきっと、誰かに、何かに殺されて、終わっていたと思う。


 面白くない。

 退屈だ。

 おまえは常々そう言っていた。

 それでも生きるとおまえは言った。

 生きると言う。


 羨ましい?

 いいや。

 恨めしい。

 言ってくれるなよ。

 俺と一緒に。

 だなんて。


 自堕落な俺はそれでも、生より死へと傾けているのだから。




 だから。




 追いかけてきてくれるなよ。











(2022.12.6)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る