銀狼山脈に抱(いだ)かれて、少女と少年はアサシンとして出逢った
明千香
序章
はるか
天上界に住まわれる神々は、あまりにも長い日々の
皆で見下ろして、あれやこれやとお喋りのネタにすれば、さぞ楽しいことだろう。
まずは、広大な箱庭の東西南北・四方を閉ざす。
東は果てのない大海原。
西は屏風のごとく連なる山脈。
南は灼熱の砂漠。
北はすべてが凍りつく氷原。
中華大陸と名づけたその真ん中に、神々は天上界と同じく山と草原と川を造り、木々と花々を植え、獣と鳥と魚を放った。緑豊かで季節の花々が咲き乱れ、生き物が命を輝かす、下界の楽園だ。
そして最後に、ひとりの神が気まぐれに思いついた。この楽園に、自らの姿を真似た〈人〉を住まわせたら、さぞおもしろいことだろう。
またたくまに、知恵と欲のある<人>は箱庭に満ち溢れ、下界の生き物たちの頂点に立った。
再び、悠久の時が流れ過ぎ去った。
移り気な神々は自分たちの造った中華大陸の存在を忘れ、〈人〉もまた創造主である神々を忘れた。箱庭に溢れた〈人〉は多くの国を造り、その中で愛し合い殺し合い、神々の瞬きほどの短い一生を終える。
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