アステカの少女 畑山博 旺文社

さて、子供の頃に出会った本の思い出を書いているこのシリーズですが、さすがに30年以上前のことを書いているのでどれを先に読んだのか記憶があやふやです。

なるべく年齢が上がっていく形で紹介しようと思っていたのですが、このへんからあやふやですので、作品個別のものは紹介したいもの順になります。

ジャンルもかなり混ぜこぜになると思いますが、お付き合いいただけると幸いです。

本日ご紹介したいのは、『アステカの少女』。

余談ですが、ちょっと検索してみたら、フリマサイトも古書店サイトもとんでもない値段がついてました!30万越えってなんなの……。

ちなみにですが、どことは言えませんが私の住んでいる所では市立図書館にも県立図書館にもありましたので(おかげで再読できました)、図書館で探していただけたらと思います。


まずはあらすじをご紹介。


鉄道技師の父の仕事の関係で、メキシコにやってきた日本人の少年勝男が主人公です。

勝男の母は早くに亡くなっていて、父と二人でのメキシコ暮らしの生活を支えてくれているのはインディオのおじいさん、モーチカです。

言葉も覚えてメキシコでの生活にも慣れてきていた勝男は、ある年の夏休みに久々に日本に帰れることになります。その間、モーチカも夏休みをもらって故郷に帰ると聞き、日本に帰る前にモーチカの故郷のインディオの村に連れて行ってもらうことに。

その村で勝男はモーチカの孫娘のヒコと出会います。ヒコは実は特別な娘で、アステカ王国の記憶をもっているのです。

ヒコは、自分はアステカ王の孫娘で、生まれ変わりを繰り返しながらその記憶を引き継いでいると言います。その記憶は決して楽しいものではなく、スペインの侵略によって王国が滅ぼされていく戦乱の記憶でした。

興味を持った勝男は日本に帰る予定の日まで村に滞在させてもらうことにします。

記憶を受け継ぐ娘を産むと亡くなってしまう女達。赤い水が湛えられたた棺の中で、なぜか腐敗せずに保たれている歴代“ヒコ”たちを安置した墓を見せてもらい、ヒコは戦火の中で生き別れた母を探していると聞かされ、勝男は母を亡くした自分とヒコをかさねあわせるのでした。

そしてある日その「戦士の顔」が岩山に浮かび上がり、それを見た2人はアステカ王国にタイムスリップし……


といったようなお話です。

この本も小学校の図書館にあって読みました。何年生だったかは覚えていないのですが、多分『世界・ふしぎ発見!』にハマっていた頃だろうと思うので4年生よりは上じゃないかな?

『世界・ふしぎ発見!』がどう繋がるのかという話ですが、古代文明や歴史に興味をもった頃にこの番組に出会って、がっつりハマったからです。マヤやアステカもこの番組経由で知ったんじゃなかったかな?そんな時にタイトルを見て「アステカ文明のお話!」と思って手を出したんじゃなかろうかと思います。

今もインディオの暮らしの中に残るアステカの文化や村での暮らしが生き生きと描かれ、タイムスリップしてからはスペインによるアステカの蹂躙が痛ましいほどに描かれています。

共に戦火をくぐりヒコの母を探す2人。苛烈な侵略を目の当たりにしながら成長していく勝男。2人はどうなってしまうのか、最後までハラハラしながら読んだことを覚えています。

子供向けのファンタジーではありますが、あまり題材に取られることのないアステカをモチーフにしているのも楽しいし、亡くした母の面影を追う2人の心情や心の繋がりも丁寧に描かれていて、読み終わった後の満足感が凄いです。

今読んでも面白かったので、ぜひお手に取っていただきたい1冊。

余韻の残るラストも素敵ですよ!

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