少年少女古典文学館 講談社

突然ですが、昔NHKで放送されていた、『まんがで読む古典』という番組をご存知でしょうか。

清水ミチコさんがナビゲーターをなさっていて、人気少女漫画家の手によるアニメとポップな口語訳で古典作品を紹介していた番組です。

私が小学校高学年の頃、すでに高校生だった姉が見ていたので知った番組です。夕方ごろに放送していたように思います。

これがまた豪華で、枕草子と徒然草は脚本が橋本治、更級日記と蜻蛉日記は林真理子、伊勢物語は中沢新一。イラストは赤星たみこ、内田春菊、桜沢エリカ、松苗あけみ。後にスペシャル版で放送された雨月物語は木原敏江、源氏物語は浦沢直樹でした。

また再放送してくれないかなあと今でも思っているこのシリーズですが、私が古典文学を読むきっかけにもなった番組です。

とはいえ最初から古文の形で読めるわけもなく、学校の図書室にある現代語訳付きのものをちまちま読んでいたんですが、まんがで読む古典と比べると、当たり前ですが硬い文体での現代語訳になるので、面白く無いわけではないけど、スルッと入り込む感じがなかったというか。

今になって思うと、ああしたものは英語で言うところの直訳に近い書き方なので、どうしても味気なく感じてしまうんでしょうね。田辺源氏なんかは苦も無く読めたので、意訳というか、訳者の解釈が多めに入っている方が子供には読みやすいのかも。

そして中学の時に母が定期購読を契約してくれて家に来たのが、講談社の少年少女古典文学館シリーズ。

ラインナップはこんな感じ。

古事記  橋本治

竹取物語 伊勢物語  北杜夫・俵万智

落窪物語  氷室冴子

枕草子  大庭みな子

源氏物語 上・下  瀬戸内寂聴

堤中納言・うつほ物語  干刈あがた・津島佑子

とりかえばや物語  田辺聖子

今昔物語集  杉本苑子

徒然草 方丈記  嵐山光三郎・三木卓

平家物語 上・下  吉村昭

古今著聞集 ほか  阿刀田高

太平記  平岩弓枝

能・狂言  別役実・谷川俊太郎

おとぎ草子・山椒大夫  清水義範・ねじめ正一

西鶴名作集  藤本義一

近松名作集  富岡多恵子

雨月物語  佐藤さとる

東海道中膝栗毛  村松友視

里見八犬伝  栗本薫

四谷怪談  高橋克彦

江戸の笑い  興津要

万葉集 ほか  大岡信

おくのほそ道 ほか  高橋治


まず訳者が私が好きな作家さんが多くてそこが1番嬉しかったですね。なんたって1番は氷室冴子氏の『落窪物語』!コバルトで1番好きな作家さんでしたからこれは嬉しい人選。『ざ・ちぇんじ』を書いた氷室冴子氏に『とりかへばや物語』を当てずに『落窪物語』というのが憎いですね〜!そしてもちろん田辺聖子氏の『とりかへばや物語』も最高でした。

『竹取物語』も北杜夫氏の手にかかればなかなかにユーモラスな物語になるし、『古今著聞集』も阿刀田高氏のどこかとぼけた味わいで日本むかし話風。

個人的には富岡多恵子氏の『近松名作集』の艶っぽくて粋な文章が好きでした。

『里見八犬伝』が栗本薫氏とかもう……そりゃ読みますわ(いっそのこと完訳に挑んで欲しかった)。

どれもこれも何度も何度も読みました。おかげで古文は得意になりました。内容をわかった上で原文を読むってかなり有利でした。

先月実家に帰った時に久しぶりに読んでみましたが、やっぱり今読んでも面白いんですよね。

今でこそ古典文学もそれこそマンガでたくさん出てますから、古典への入り口は広がっていると思いますし、私もマンガ好きなのでそこから入るのも大いにアリだとおもってますが、やっぱりこの豪華作家陣の訳も子供達に読んでみて欲しいですね。

絵でしかできない表現があるのと一緒で、文章でしか表現できないものもあるので、どっちも楽しんでほしい!

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