児童書との出会い2

 さて。

 皆さんは国語の教科書って好きですか?

 私は大好きです。

 自称・本の虫、というだけあって、外遊びよりも本を読む方が好きだった私はよく母に本もいいけど外で遊びなさいと言われました。それに加え宿題もありますしまず勉強してからにしなさいと、幼稚園の頃のように好きなようにはできなくなりました。

 小学生あるあるですよね。

 そこで国語の教科書の出番です。

 一見勉強しているように見えます。ただ一年生の国語の教科書は薄いのですぐ全部読めてしまう。

 悪知恵を働かせた私は4歳年上の姉の使い終わった国語の教科書を持ち出します。

 2年生の国語の教科書に載っていた寺村輝夫さんの王さまシリーズや神沢利子さんのくまの子ウーフシリーズにはこうして出会いました。

 ちなみに本が読みたいがための悪知恵でしたが、漢字を先取りできたので読める本の幅が広がり一石二鳥。ただし読めれば良かったので書きは全然覚える気がありませんでしたから読めるようになるだけのダメ学習ではありますが。

 王さまシリーズもウーフも図書室にシリーズとして置いてありましたので、もちろんシリーズ制覇です。王さまもウーフもちっともいい子ではないので親近感が湧くのです。王さまなんて口ひげを蓄えた立派なおじさんなのに、やることは子供と同じ。1番大好きだったのは『1つぶころりチョコレート』。絵本や童話にでてくる食べ物ってなんであんなに美味しそうなんでしょうか。筒に入ったチョコレートって、きっと駄菓子のチョコレートみたいなものだと思います。高級ショコラティエのチョコだって食べた大人の今になっても、あの王さまのチョコレートを食べたいと思うのです。

 字と絵でしか知らないはずなのに、ウーフはふかふかでお日様の匂いのするやんちゃな子ぐまで、手はハチミツでちょっとペタペタして。ウーフのお母さんは美味しいもの匂いがして。王さまはふわふわした飾りのついたマントを引き摺りながらお城の中をちょこまかと動き回っては何か楽しいことを探して。大臣の目を盗んでイタズラに励んで。

 そんなふうに匂いや手触りまで知っているかのように頭の中に世界が広がるのが本の素敵なところ。

 もちろん漫画やアニメも好きでよく見ていましたが、こうした手触りや匂いのようなものがふっと立ち上ってくるのは不思議と文字の作品の方が多かったように思います。

 そんなふうにだんだんと字のほうが多い本に移って行き、ますます図書室に入り浸り、自分の借りられる分では足りないから友達の分を貸してもらうというズルまで覚えた小1。

 今思うとあんまり可愛げがないかも……。

 その3に続きます。


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