第54話 ハーフだよ!
まず、エルフが存在するのは、人間以外の種族には知られているそうだ。
一部の獣人やドワーフの国とは交流があるらしい。
僕が見た2人は間違いなくエルフだろうとの事。
エルフの特徴として尖った耳が上げられるが、ドワーフにも似た特徴があるため子どもの内は判断し辛い。
だが一部のエルフには瞳の色にも特徴があり、キラキラ輝く虹彩がそれだ。
この両方の特徴が揃っているならエルフで間違いないんだとか。
つまり、セルバスの瞳にもその特徴があると言う事は、セルバスもエルフって事?と聞くと、それは違うって言われた。
セルバスは、ハーフなんだって!
ハーフは基本どちらかの種族の特徴を受け継いだ容姿になるため、セルバスは人間の容姿なんだけど、なぜか大人になってから瞳の特徴が出たんだって。
おお~ハーフエルフと喜んだところで気付いたけど、人間はエルフの存在を知らないんだよね?
セルバスの人間側の親はエルフを知っていたの?
なんと、セルバスの母親は人間だったんだけど、父親がエルフとは知らないまま亡くなったんだって。
エルフは子どもが出来にくい種族で、父親はその
で、エルフの時間感覚は人間のそれより長くて、ほんの少し旅に出たつもりで5年程経った頃に、またフラッと現れたそうだ。
そこで初めて子どもが産まれた事を知った父親は、凄く驚いた後にセルバスを拐って母親から姿を隠したそうだ。
ええ!?そんな身勝手なのエルフって?
エルフの存在…ましてやハーフエルフは飛び抜けて希少な存在になるため、人間に知られたらどんな目に合うかわからなかったから、しょうがなかったんだとか。
それなら奥さんにも説明して、一緒に秘密を守れば良かったんじゃないの?
「エルフの掟なんです。人間にエルフの存在を知られてはならないと。もし私がエルフの容姿を継いでいたら、私の事を知った人間を皆殺しにする所だったそうです」
何それ怖い!
「あれ?セルバスは喋ってるよね?」
「私はハーフエルフ…いえ、ハーフヒューマンですから、エルフにはならないんです」
人間と決別してから数百年ぶりにハーフが産まれたために、エルフの里に受け入れて貰えなかったんだって。
もしかしたら容姿がエルフであったら受け入れて貰えた可能性もあるが、それでも人間の血を引くと言うだけで異分子として弾かれたと思うと言うセルバスに、何を言えばいいのかわからなかった。
「私も既に50歳を超えてますから、今更エルフの仲間になりたいとも思いません。ですから、エルフの掟を守る必要もないと言う事ですよ。もちろん父がいますから、
「僕はセルバスがハーフヒューマンで良かったよ!だって今のセルバスだから僕のお世話をしてくれてるんだし、もしセルバスがエルフの里に行ってたら会えなかったんでしょ?」
「ヴィンセント様…ありがとうございます。私もヴィンセント様にお会い出来て良かったです。これからもお世話させて頂きますね」
「うん。これからもよろしく!」
「さすが人タラシなルーベン様のお子様です」
先生が何かボソッと言ってたけど、セルバスの事に気を取られていたから気付かなかった。
「コホン。申し訳ございません。少し感傷的になってしまいました。説明を続けさせて頂きます」
ここ数年の事なのだが、自らを転生者と言う子供が現れるようになったのだとか。
それって僕以外にも転生者がいるって事?
「ああ、それなら私も聞いた事があります。なんでも異世界で死んで生まれ変わったとか言ってるらしいですね」
マジで!?
「そうです。そしてエルフの里にも、異世界から転生したと言う子が生まれたらしいのです。父から聞いたので、その時は眉唾物として聞き流していたのですがね。父は放浪先で仕入れた話を、有ること無いこと面白おかしく話す様な人でしたので」
ところが王都でも転生者の噂が出回って、調べてみた所どうやら本当らしい事がわかったんだとか。
聞いたこともないような知識を持っていたり、子どもとは思えないような発想をしたり、その知識や発想を元に色んな技術が発展しているんだとか。
え?転生者は普通に受け入れられてるって事!?
「実はヴィンセント様も転生者ではないかと思っていたのですよ」
ええ!?バレてた!
おろおろと先生とセルバスを見る。
「なるほど。確かに言われてみれば、ヴィンセント様は子どもらしからぬ聡明さを持っていて、今までにない発想をする事があります。私は家庭教師になって日が浅いので、賢い子だなくらいに思っていましたが、転生者だと言われれば納得ですね!」
いや~!納得しないで!
僕はちょっと賢いお子様と言う事にしといて!
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