第44話 依頼を受けたよ!

 お目当ての、冒険者登録をしなくても出来る依頼は買取カウンターの方にあった。


 依頼書の貼り出された壁の反対側に、常設依頼と一緒に貼られていたよ。


 常設依頼は箇条書きで、ホワイトボードみたいなツルツルした板に書かれている。


 いつでも買取してくれる素材や簡単な魔物の討伐などで、冒険者でも冒険者でなくても受けられるんだって。


 素材や証明部位を提出したら報酬を受けられるため、出掛けたついでにみたいなノリらしい。


 ちなみに討伐依頼が出るのは地上の魔物だけだ。

 町や村に被害が出やすく繁殖力が高い魔物が主になっている。


 ダンジョンの魔物は死体が残らずドロップ品が出るゲームみたいな感じだ。

 ギルドカードに討伐履歴が残る、ハイテク仕様となっている。


 先生が教えてくれた話では、ダンジョンの魔物はダンジョン特有の魔力のような物…マナと呼ばれる物で出来ていて、死んで消える時に放出されるマナをカードが読み込んでるんだとか。


 その時に放出されるマナが何らかの刺激でドロップ品として残るのではと言われているが、ダンジョンの事は謎が多くてほとんどが仮説なんだって。


 地上の魔物は死体が残るから、弱い魔物だとマナの放出が少ないため、カードに読み込めないから証明部位を提出するんだって。


 街中で出来る依頼は、馬糞集め、水路の清掃、外壁の修理等の国からの補助で行われている依頼や、倉庫整理、荷物運び、子守り等の商店や個人からの依頼まで幅広い内容だ。


 国からの依頼は、何ヵ所かある集合場所に行って仕事をしたら、その場でお金が貰える日雇い労働みたいで、ギルドに来る必要もないとか。


 商店や個人の依頼は、ギルドで受注しなきゃ駄目だけど、真面目に働いてたら、直接雇用されたなんて事もあるらしい。


 アルバイトから正社員になるようなものかな。


 常設依頼以外は、受けたい依頼書を剥がして受付に持って行く。


 何人か募集している依頼の場合は、依頼書に書かれているのと同じ番号の木札が掲示板の下に人数分置いてあるから、それを受付に持って行くんだって。


 ランク別の通常依頼は、受けられる等級の中から達成出来そうな依頼書を剥がして、受付に持って行く。


 失敗したら違約金が発生するから、考えて選ばないと駄目なんだね。


 ブロンズ以上は人数指定がない依頼でも、2人以上のパーティーで受ける前提で難易度が設定されている。


 受けたい依頼にメンバーが足りないと思えば、知り合いに声をかけたり、待合室の手前にある募集掲示板でメンバー募集して集めるんだって。


 その為の待合室だったのか…


 僕が出来そうなのは荷物運びだけど、運べるのは3kgくらいまでだから荷物の重さによるよね。


 それに流石に5歳児が荷物運びしますって来ても、ギルドも困るだろう。


 と思ってたら、祖父が荷物運びの詳細を聞いて受けちゃったよ!


 何でも依頼者が知り合いだったから受けても問題ないし、先生に一緒に行って貰えば良いって。


 そんなので受けても良いの?

 ギルドとしては依頼者が身内でも問題ないし、貴族の場合は従者や護衛を連れてる人もいるから大丈夫らしい。


 ただし不正は駄目だよって、サブマスからイケオジウインク頂きました。


 先に討伐してから依頼を出してポイントを稼ぐとか、居もしない魔物の討伐依頼を出して、失敗扱いにして違約金を受けるとかが過去にあったらしい。


 従者や護衛が依頼を手伝ったりするのは不正じゃないのかと思ったら、従者や護衛が異議を申し立てないなら失敗するよりはと目溢ししているそう。


 ただ、実力がないとランクアップ出来ないから、頻繁にやると恥をかくだけだよと、爽やかに言われた。


 受付で処理をどうするのかと思ったら、10歳未満の場合は保証人がいれば仮登録カードを発行するんだって。


 保証人がいないと違約金が払えないから、常設依頼などの違約金が発生しない依頼しか受けられないためカードも必要ないんだとか。


 仮登録カードは討伐履歴は記録されないけど、その他はギルドカードと同じ機能だって。

 ダンジョンに入れないから討伐履歴は必要ないものね。


 仮登録料が小金貨1枚って高いのか安いのかよくわからないな。

 祖父が保証人だからと払っていたよ。


 テンプレの血液登録をしたよ。

 カードを差し込んだ魔道具にある窪みに、人差し指を乗せたらチクリと針が刺さったら終了だよ。


 ポーションを染み込ませた綿でチョンと拭いたら、跡も残さず傷が消えるアフターフォロー付きです。


 真っ白なカードを渡されて魔力を流してと言われたけど、どうやるの?


「ヴィンセント様はライトを使えるのですから、同じ様に魔力を少し流すイメージをすれば出来ますよ」


 先生のアドバイスで、指先から魔力が流れるイメージをすると、カードに文字が浮かび上がった。

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