第42話 契約魔法だよ!
契約魔法が普通の魔法と違うのは、使った用紙が魔道具になってて、国の許可なく製造も販売も使用も出来ない事だ。
貨幣の偽造と同じく、これを犯せば死刑と決められてて情状酌量なんてものはないらしい。
使用が認められているのは、冒険者ギルドと商業ギルドのみで、契約魔法使いも国家資格が必要なんだとか。
まぁ国家資格なんて言ってるけど、契約魔法で縛って国に登録するだけらしいけど。
定期的に契約が破られてないか、チェックされる程の厳しさだけど、給料が良いらしいよ。
なんせ契約魔法1回で大金貨1枚を払うんだけど、その内の半分が契約魔法使いの取り分になるんだって。
少なくとも月に3回は仕事があるから、平民なら4人家族が3ヶ月は暮らせる金額らしい。
多い時でも月に10回程だから負担も少ないし、空いた時間で他の仕事をしても良いと言うから副業として人気なんだとか。
ギルド職員の立ち会いの下、魔道具を使う事で、他者に影響を与える契約魔法が許される。
一方的な契約は法律で禁止されているから、専門職員が契約内容を確認するんだって。
ペナルティに命を奪うのは良いのかと思ったけど、内容に納得した上で契約者全員に適用してるから、一方的な契約じゃないのでOKなんだって。
契約を破らなきゃ良いだけですよと、爽やかに言われたよ。
基本的に契約魔法は、相手の同意が必要なので勝手にかけたりは出来ない。
騙したり脅したりして、違法奴隷にしたり、秘密を喋らせたり、財産を取り上げたりする者がいるから、怪しいと思ったらギルドに通報して下さいって。
詳しくは言えないが、魔道具を使わない契約魔法を判別する方法があるんだって。
やっぱり奴隷がいるんだ…身分社会のテンプレとは言え嫌だなぁ。
「ヴィンセント、どうかしたか?契約魔法は身体に影響がある魔法じゃないはずだが、体調が悪いのか?」
「ヴィンセント、大丈夫?お祖母様に寄りかかっても良いのよ?」
どうやら奴隷と聞いて嫌な気持ちになっていたから、心配をかけたようだ。
「お祖父様、大丈夫です。お祖母様も、ご心配をおかけしましたが、体調は悪くありません」
「そうか?ならば良いのだが、調子が悪いなら我慢せずに言いなさい」
「ありがとうございます。ちょっと考え事をしてただけなので、大丈夫です」
「考え事って何だ?」
「いえ、大したことではないのですが、契約魔法の光が身体に入って来たのに何も感じないけど、契約を破ると影響があるのが不思議だと思ったのです」
「流石はヴィンセント様、わかってらっしゃる!私も不思議に思っていたんですよ!なぜ強化魔法だと感じるのに、契約魔法をかけられても何も感じないのか、その研究論文も読んだのですが、なかなか興味深いですよ」
先生はいつも通りですね。
折角さっきまで真面目な顔で座ってたのに台無しだよ。
僕のは適当な言い訳なので、何もわかってないよ。
どうやら強化魔法…いわゆるバフだと魔法をかけられた事を感じるらしい。
体内の魔力は感じないけど、魔法になったら感じるようだ。
ただし、弱い魔法だとよっぽど敏感な人じゃないとわからないんだって。
そうじゃないと、あちこちで魔法が使われる度に反応してたら疲れる為に、本能的にシャットアウトしてるのではとの事。
だからこそ、気付かれない内に魔法を使われない為に、鑑定やデバフは魔道具で阻害するんだってさ。
まぁデバフは強い魔力じゃないと
ただ、長期間に渡って少しずつかける事で、抵抗力を下げる様な魔道具はあるから、物を貰ったら身に着ける前に鑑定してもらうようにだって。
あれれ?祖父母に貰った魔道具も鑑定した方が良いの?
先生の説明に、胸に着けたブローチを触りながら首を傾げると、祖父母が信頼のある商会で鑑定済のアイテムだから大丈夫と慌てていた。
祖父母を疑った訳じゃないけど、知らない人から物を貰う時は気を付けようと思ったよ。
兎に角、契約魔法は強力な魔法なのに何も感じないのは、魔法の効果が、契約が破られた時に発揮するタイプのものだからと言う研究結果があるって事が言いたかったみたい。
それ以上の専門的な事は別の機会にお願いします。
「では、問題がないようですので、契約は完了になります。他に御用はございますか?」
「あ、ギルドの中を見学するのは駄目ですか?」
依頼が見たいから帰る前に頼んでみる。
「私どもは構いませんが、どう致しますか?」
「ふむ。これも勉強になるか。よし案内してくれ」
「ハッ、かしこまりました」
やったね!良いクエストがあれば、おねだりしてみよう。
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