第30話 闇を知ったよ!
ギルドポイントの事を先生に聞いてみる。
どこのギルドでもそうだが、ランクによって色んな制限があるんだけど、制限はランクを上げる事で解放されるんだってさ。
そのランクを上げるのにギルドポイントが必要で、ポイントは依頼を受けたりギルドに貢献する事で貰える。
冒険者は入れるダンジョンの難易度に連動しているし、商人なら店舗の規模や支店が持てるなど、ランクが上がるごとに優遇されるんだって。
先生も冒険者ギルドと魔道具ギルドに登録してて、普段は家庭教師の傍ら魔道具の開発や研究をしてるから、魔道具ギルドのランクはそこそこらしい。
代わりに冒険者ランクがなかなか上がらないから、機会があればギルドの依頼でポイントを稼いでるんだって。
冒険者ギルドから魔道具ギルドに依頼もあるが、だいたいは高位貴族の坊っちゃんに持っていかれるそうだ。
ここでも身分なんだね…
だからクラス至上主義が根深く残ってしまうらしい。
実力もないのに身分だけで仕事を取って、ランクや肩書きが上になるからだって。
そんなのクライアントからしたら、実力がある人に受けて貰いたいよね…
その為に指名依頼と言う制度があるそうだ。
なるほど、良くできてる。
ちなみに成人するまでは貴族カードで、成人したらギルドカードを使うのが貴族の常識だそうな。
じゃないと爵位を継がない子供が財産を食い潰して、家が潰れたなんて話しが過去にあったらしいよ。
今は貴族カードの制限を当主が設定出来るから、クレジット機能は止められるんだって。
完全に平民になると貴族カードは取り消されるから、次男以下や娘は貴族籍をキープするため、必死に結婚相手を探すらしい。
結婚せずに伯爵の次男となっていても、嫡男が爵位を継いだら自動的に平民になるからね。
女性は生活を保証されるなら愛人でも良いなんて人もいるから、パーティーでは気を付けないと駄目だよって、僕まだ5歳だよ~。
既成事実とか…肉食女子怖い!
貴族の闇を知ってしまった。
震えている内に、父が手紙を書き終えたみたい。
その前に忘れてたステータスを確認する。
経験値はレベルが2、クラスが2、スキルが4上がってた。
手紙を受け取ってポケットからお財布に入れる。
「じゃあ今からお祖父様に会いに行けばいいのですか?」
「今日は侯爵邸にずっといるはずだから、いつでも大丈夫だよ」
「それじゃあ…」
「そんなに急がなくてもいいじゃないか。なかなか時間が出来ないんだから、もう少しお父様とお話しをしよう」
「それじゃあ、お父様のクラスとスキルの事を、お聞きしても構いませんか?」
「ふむ。私のクラスとスキルか…ヴィンセントが聖騎士について知っている事は何かな?」
「僕が知っているのは、騎士の上位職と言う事、騎士のスキルの他に回復魔法や浄化魔法…いわゆる光魔法が使えるって事です。それから伝承では、光の剣と盾を持ち聖女様を邪神から護ったとありますよね」
「まぁ概ねその通りだね。光の剣は出せないんだけど、私のレベルが低いからかもしれないね」
学生時代から王太子殿下の護衛をしていたから、ダンジョンに行く機会が少なくて、訓練でレベルアップするのは微々たるものなんだそう。
それでもレベルが10も上の騎士に勝てるらしいけど…
「それでは、お父様のスキルを教えて貰えますか?」
一部言えない事もあるらしいけど、教えてくれたスキルは、剣術、盾術、槍術、騎馬術、従魔術、回復魔法、浄化魔法らしい。
え?テイマーじゃないのに従魔術があるの?
レベルが10になったら覚えたらしい。
と言う事は自分で覚えた訳じゃなく、聖騎士のスキルって事だよね。
聖騎士には従魔が必要なんだろうか?
浄化魔法は生活魔法のクリーンと違って、瘴気や穢れを祓うものだけど、クリーンと同じ様に汚れも落ちるらしい。
どんな感じなのか使ってくれたんだけど、凄い爽やかな風が吹き抜けて身も心もスッキリする感じだった。
「ほわぁ~僕も浄化魔法を覚えたいです。お父様はレベルアップで覚えたのですか?」
「多分そうだと思う」
「多分ですか?」
どうやら騎士の訓練やダンジョンに入ると、お風呂に入れない為にクリーンが活躍するらしい。
ダンジョン攻略中に結構使ってたから、レベルアップの時だったのかクリーンを使った時だったのか判らないらしい。
「それじゃあクリーンを頑張って覚えます。そう言えば、お父様はジェロームをテイムしているのですか?」
「そんな事はしていないよ。そもそもジェロームは魔馬じゃなくて、普通の馬だよ?」
「従魔術は、魔物じゃなくてもテイム出来るんじゃないんですか?」
「う~ん。テイマーが魔物以外をテイムしたなんて話しは聞いた事がないから、どうなんだろうね。よし、ならば試してみるか!」
父はコツコツとする実験とかは苦手だけど、決断力が早いよね。
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