第28話 ジゴロだったよ!
「後はステータスプレートに表示されないと言うことは、鑑定士にも見られない可能性があるのですが、信頼出来る鑑定士が知り合いにいないので試せないですね」
鑑定士!?
ファンタジー定番の鑑定スキルとか羨ましい。
たった1日や2日でこれだけ調べるとか、先生も祖父と気が合いそうだね。
あ、そうだ!祖父にステータスの秘密を打ち明けるのはどうかな?
「シャガーリオ侯爵様ですか…確かにあの方なら鑑定士の伝もありそうですし、教会にも顔が利くでしょうから仲間になって頂けるなら心強いですね。ただ、あの方にも宰相としての立場がありますから、国益になると判断された場合には、王族からの要請が来る可能性があります」
「そうなんですね。お祖父様は実験がお好きなので、一緒に出来たら楽しいと思ったのですが…王族が出て来たら困りますね」
「ええ。ですからヴィンセント様のお財布画面だけは、絶対に知られないようにする契約魔法を使いましょう」
なんですとー!?
「従業員にするような弱い契約魔法ではなく、ヴィンセント様と私と侯爵様で強めの契約を交わして、秘密を守るようにしておくのです」
「僕は先生の事もお祖父様の事も信頼してますから、契約魔法がなくても構いませんよ?」
「いいえ、いけません。万が一、良くない連中に知られてスキルを使われたら、喋ってしまう場合もありますから」
あ…そんなスキルもあるのか。
いや、スキルじゃなくても拷問とかで口を割らせるとか定番だよね。
「契約魔法があれば、逆に魔法やスキルで干渉しようとしても弾かれますからね」
ほほう、自分を守る手段にもなるんだ?
流石は契約魔法だね!
何が流石かは知らんけど。
「それではヴィンセント様から、侯爵様へ面会の依頼をして貰いましょう。私からでは関係が薄くてすぐに会えませんからね。ついでにお使いになりますし、私が書いた手紙を同封して下さい。なんならルーベン様にも、協力をしてもらいましょうか?」
「あ~お父様はたぶん実験とか向いてないですし、結果だけ伝えたらいいかと」
「ハハハ、確かにルーベンに研究は向いてないですね。おっと、呼び捨てにしたのは内緒ですよ。ルーベン様は身体を動かすのが、得意な方ですから。それに閃きと言うか、勘みたいな物があります。万が一の時には頼りましょうね」
学生時代は呼び捨てにしてたから、時々クセが出るんだって。
「大丈夫です。父には内緒にしておきます」
「いやいや、カレンにも内緒にして下さいね?」
チッ、カレンにチクろうと思ったのがバレたか。
「しょうがないですね。貸しにしておきます」
「ヴィンセント様は、なんだか大人の様な事を言いますよね」
ドキッ。
「ませているのはルーベン様の血筋でしょうか?あの人も、10歳でリゼット様を口説かれていた様子は、歴戦のジゴロのようでした」
歴戦のジゴロって、どんな口説き方なの?
君の瞳に乾杯とか(古っ)
貴方はどうしてロミオなの的なシーンしか浮かばない…
所詮はモテない男の発想だよ…
要するに女性のハートがキュンキュンする様な言葉を並べてたんだってさ。
「そう言えば、侯爵様と実験をされたのですか?」
昨日の実験結果を先生に説明したよ。
あ、蟻と草の事を忘れてた!
慌てて出したけど、凄く元気だった。
やはり時間停止みたいだよ。
キャンディが減ってる感じはしなかったし、1滴だけ入れた水も乾いてなかった。
草も瑞々しく雑草魂あふれる感じだった。
先生の興奮がなかなか止まらなかったので、カレンの名前を言ったら漸く止まったよ。
先生が自分をお財布に入れてくれとか恐ろしい事を言うから、それは動物実験をしてからでと納得して貰った。
とりあえずカレンにお茶を入れ直して貰った後に、祖父宛の手紙を書いたよ。
封蝋はカレンに用意して貰ったけど
父母のどちらかに借りるかなと思ったら、カレンがセルバスに借りてくれたよ。
お~代筆する時に使うスタンプがあるんだ。
紋章は紋章官によって登録されていて、家族や代筆者は紋章のアレンジ版を使うのだとか。
我が伯爵家の紋章は聖騎士のイメージの光の剣と、盾に侯爵家の系譜とわかるように双頭の鷲を組み合わせたデザインだよ。
めっちゃカッコいい!
この紋章をそのままスタンプにしたのが当主の印で、母は侯爵家の系譜ではないので鷲でなく、子爵家のアマリリスの花を組み合わせてる。
僕の紋章は鷲の頭が1つのデザインにする予定なんだって。
セルバスが預かっているのは、鷲の代わりに女神ルミナマイア様のシンボルの月になってるよ。
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