第27話 トイレの照明だよ!

 とりあえず初めは簡単なライトから練習する。


 オリバー先生がお手本を見せてくれるから、真似をして覚えるんだよ。


「ライト」


 ポワっと明るい光の玉が出る。

 明るい部屋では判りにくいから、カーテンを閉めた状態なので良く見える。


 蛍光灯やLEDに慣れた日本人には弱い灯りだと思った。

 トイレの電球やベッドサイドランプみたいなイメージだね。


「こんな感じです。次はヴィンセント様の番ですよ」


 ライトを消して促される。


「ライト」


 ポワっと明るい光の玉が出たけど、すぐに消えた。


「あれ?」

「ああ、ちゃんとイメージが出来てないからですね。灯りが点いたままの状態を思い浮かべて下さい」


 なるほどイメージか…こんな感じかな?


「ライト」


 ピカッ!


「わっ!?」

「うひゃ!?」


 蛍光灯をイメージしたら、意外と眩しかった。

 先生のうひゃは面白かったけど。


 目が慣れたら、よくある蛍光灯の灯りなので眩む事もない。


「素晴らしいです!初めてでこんなに明るい光が出せるなんて!ヴィンセント様のクラスは魔法適性もあるのでしょうか?」


 いや、前世の記憶だからだよ。

 とは言えないので、さあどうでしょう?と誤魔化しておく。


「先生、この光はどうやって消すのですか?」

「それも消える様にイメージするだけです」


 スイッチで消すイメージで…って本当に消えたね。


「では、次はライトを使って、何回くらいで疲れるかを試してみましょう」


 ひたすらライトを唱えて、10回くらいで少し疲労を感じ、15回で息が上がった。


 なんだか魔力より体力を使ったような感じだよ。


「ここまでにしましょう」

「はぁ、ハイ、先生、はぁ」


「15回も使えれば、魔力は十分ですね。1度に使うのは10回までにして下さい」

「ふぅ。ハイ、先生」


 どうやら魔力量も人並みのようだね。

 魔道具を壊すイベントはないみたいだね。


「1時間くらい休めば、数回分くらいは回復すると思いますが、疲れ方は今より酷くなるので注意して下さい。まぁ普通は、何度も生活魔法を使う機会もないですけどね」


「そうなんですね」

「さて、とりあえず今日の授業は終わりですので、本題に入りましょう」


 ん?本題?


「本題って何ですか?」

「イヤだなぁ、ステータスの事ですよ!あれから私も色々と研究してみたのです」


 なるほど?

 いやいや、秘密にするとか言いながら研究してたの?


 1人でしてるから大丈夫?

 まぁ僕も実験したけども、先生の知識欲が凄いね。


 それで先生が試したのは、経験値は生活魔法やスキルでどれくらい上がるかとか、運動でも上がるかとか、本を読んで上がるかとかだって。


 窶れてたのはカレンに無視されてたせいじゃなくて、研究に没頭して寝不足だったからだよ…


 研究結果は、ほとんど全ての行動で経験値は上がったけど、それぞれの上がる項目や数値や時間が違うのと、クラス関連のスキルが一番効率が良い事がわかったそうだ。


 それからステータスを押したり叩いたり擦ったりも、色々なイメージで試したらしい。


 結果は微妙な機能だけど新発見があった。


 3本の指で画面を押さえて回すと画面が回転する事。

 画面の端を押さえて動かすと画面のサイズが変えられる事。

 画面のサイズを小さくすると文字が見えなくなるが、画面を押さえて上下左右に動かすと文字が現れる事。


 何だかPCやタブレットの機能にあるような事ばかりだね。

 でもステータスとしては必要とは思えない機能だよ。

 クルクル画面を回してみたり、サイズを変更してみた。


 ステータスって放っておくと消えるんだよね。

 ゲームみたいに常に視界の端に表示されたままなら、小さく出来るのは便利だけどね。


 そして、これが一番の発見なのだが、画面の項目を非表示に切り替えると、ステータスプレートにも表示されなくなる事だよ。


 え?教会で試したの?

 自分の知的好奇心を満たす為に、ステータスプレートを購入したんだ…


 え~それ凄い高いんじゃないの?

 魔道具を開発して特許が取れたから思いきって買ったんだ…


 先生は特許も持ってるんだね?

 時計の魔道具って先生の発明なの?


 研究してたら細かい時間を計りたくなって、作ったら特許が通ったんだ…

 やっぱり自分のためだった!


「もう5年くらい経ちますが、そんなに売れていませんよ。魔道具ギルドとの契約金が入っただけです」


「いや、絶対に売れると思いますよ!ダンジョンに入ったら鐘は聞こえないでしょうし、冒険者用に丈夫にすれば買いますよ!」


 目覚まし機能やストップウォッチ機能があれば、僕も欲しいくらいだよ。


「なるほど確かに。ヴィンセント様は商才もありますね。魔道具ギルドに提案しておきます」


 そしたら、お駄賃で買えるかな?

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