第11話 キュンキュンしたよ!

 先生の惚気話しを聞き流しながら昼食を終え、部屋に戻ってきたよ。


 カレンが怖いオーラを出してたのに、懲りない人だよね。


 午後からは算数の授業だ。

 前世の記憶で余裕で解けるけど、変に天才とか持ち上げられても困るから、適度に間違えたり解らないふりをしておく。


 歴史は全く知らないから、興味深く聞いてるけど、記憶力も平凡な僕には覚える容量に限度があるから、自然と間違えたり忘れたりしてる。


 後はクラスを得たから、魔法についても本格的に習う事になる。

 そろそろ貴族の嗜みの、ダンスや剣術も始まるから憂鬱だよ。


 今日の授業は歴史で終わりなのに、先生は帰らない。


 いつも我が家の本を借りて読みながら、カレンの仕事が終わるのを待って一緒に帰ってるんだよ。


 つまり夕食も食べて帰るって事だ。

 父と同級生だからって、遠慮がないよね。


 今日は父も一緒に食べるのだろうか?

 母は先ほど、お茶会から帰って来てた。


 この後は母と一緒に妹のシャーロットに会うんだ。

 シャーロットも両親の良いとこ取りで超美幼女だよ。


 父と同じ銀髪はポワポワしてて綿菓子みたいだし、瞳は母より少し青みがかったような青磁色のタレ目が可愛いよ。


 母の支度が整ったみたいで、ニーナが呼びに来てくれた。


 カレンには、オリバー先生のお相手を頼んでおいたよ。

 諦めたように応接室へ向かっていたけど、カレンがツンデレ属性な事は知ってるからね。


 母の部屋へ行くと、シャーロットの部屋から泣き声が聞こえてきた。


 母と一緒にシャーロットの部屋に入ると、乳母のソフィアが抱いてあやしている。


「あらあら、お腹が空いたのかしら?」


 母が聞くと、ソフィアが先ほどオヤツを食べさせたと言う。


 じゃあオムツかな?

 美幼女のオムツ替えを見る趣味はないので、部屋を出ようか悩む。


「にぃにー、かぁしゃー」


 おお、お兄様はここだよ!

 シャーロットが僕達を見つけて、泣きながら呼ぶので近付く。


「にぃにーこっちー」


 あぁ泣き顔も可愛いよ、マイシスター。

 必死でプクプクの手を伸ばすから、そっと握る。


 思ったより強い力で握り返されて、妹の成長を感じる。


「ロッテ久しぶりだね」


 さっき泣いてたはずが、もうご機嫌に笑ってるのも可愛いね。

 どうやらオシメではなかったか。


「にぃに、ひしゃぶ?」

「ロッテったら、私よりヴィンスの方が好きなのね」


 妹の涙を拭きながら母が拗ねる。


「かあしゃーしゅき」

「まぁ!私も大好きよロッテ」

「あ、お母様ずるいです。僕もロッテが大好きです」

「にぃにーだぁしゅき」


 もうキュン死にしちゃうよ。

 母と2人でシャーロットの可愛さにキュンキュンしながら遊んだよ。


 僕は決してロリコンではない。

 しかし世間でも言っているではないか、可愛いは正義だと!


 はしゃぎ過ぎて眠ってしまった妹の寝顔を見てる内に、いつの間にか僕も寝てしまってた。


 まだ5歳のお子ちゃまだから仕方ない。

 起こされて妹の部屋を出る時は、せっかくの時間なのに勿体ない事をしたと後悔したよ。


 また来週まで会えないのは淋しいけど、少しずつ会える時間も増えてるし、3歳になれば遠慮はいらなくなるから、それまでの我慢だ。


 そのまま母の部屋でお茶をする。

 ロッテの可愛い所を数えたり、今日のお茶会の話しを聞いたり、父の惚気が終わるのを持ってお願いをする。


「お母様、僕に何かお使いをさせて下さい」


 そう、クラスの経験値の実験は終わってないのだ。

 クラスとスキルは両親も知ってるから、協力してもらうよ。


「ヴィンス…そうね。せっかく授かったクラスですもの、何が出来るか知ることは大事ですよね」


「ハイ。僕もお使いは楽しいです」

「あら、もうお使いをしたの?」


 あ、カレンに無理矢理お使いを頼ませたのは、怒られるかな?


 しかし母は楽しそうな顔をしてるな。

 正直に今日のお使いの内容を話す事にする。


「まぁ、ヴィンスったらカレンを困らせたら駄目よ。でも頼まれた事をきちんと出来たのは偉いわね」


 おっふ。これがアメとムチの使い方か…


「それじゃあ、お母様からヴィンスに頼みたい事は、お父様が帰られたら、お手紙を渡してちょうだい。お返事も貰って来てね」


 良い香りのする便箋に、サラサラと何かを書いて封をすると僕に渡す。


「わかりました。必ずお父様にお渡しします!」


 お使いゲットしたよ!

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