第3話 女神様に会ったよ!

 目が~とはならなかったけど、眩しい。

 祝福の儀で光るとか聞いてないよ。


 暫くしてから光が消えたのを感じて目を開けても、まだ白くチカチカしている。


『我が名はルミナマイア。世界を見守る者である』


 ふえ?

 何か頭の中に声が聞こえたような…


 チカチカが治まった目を、そろそろと上げると、先程まで大聖堂にいたはずが、真っ白な空間になっていて、石像だった女神様が艶やかな笑顔で目の前にいた。


 足首まで届くピンクゴールドの髪に、鮮やかなサファイアブルーの瞳。


 人ではあり得ない美貌と完璧なボディラインは、まさに女神としか言いようがない。


 おおぉ~!ようやく転生イベントがキター!


 転生する時に神様イベントがなかったから、チート特典なしかと思ったけど、祝福の儀で貰えるパターンだったのか。


 いや~3歳の洗礼では、何にも起きなかったから半分諦めてたけど、ドキワクが止まりません。


『では祝福を授ける』


 いや、いきなり?

 僕の死因とかお詫びとか、そんな感じの説明はないの?


 キラキラと降り注ぐ光は、女神様の美貌も相まって凄く神聖な感じだけど、やけに対応がシステマチックじゃない?


 降り注ぐ光が僕の胸に吸い込まれて、一瞬だけ身体が光って消えた。


 あれ?何も感じなかったけどチートは貰えたの?


『祝福は与えられた。あとは好きに生きるがよい』


 ええ!?これで終わり?

 ちょっと!転生の説明は?

 これってチートはあるの?

 再び目の前が真っ白になる。

 待って女神様ー!


「ヴィンセント様、大丈夫ですか?」


 ふえ?

 目の前にいるのは女神様でなく大司教様だ。


 キョロキョロと見回すと、女神様は石像のままだし、後ろの両親は心配そうに見てるしで、どうやら本当に祝福の儀は終わりみたいだ。


 ガッカリしながら、大丈夫ですと答えて立ち上がる。


「女神様から祝福は頂けたようですね」

「あ、ハイ」

「ではステータスをご確認下さい」


 おお、いよいよアノ台詞を言う時がきた。

 まぁ声に出さなくてもいいんだけど、子供だから言っちゃうよ。


「ステータスオープン」


名前:ヴィンセント・ダン・セザーニア

年齢:5歳

性別:男

レベル:1

クラス:お使い

スキル:お財布


 んんん?お使い?お財布!?

 なにこれー!?


「ステータスは出ましたかな?」


 大司教の言葉に、慌てて返事をする。


「ハイ、出ました」

「ではこちらのステータスプレートに手を置いて下さい」


 ステータスは本人にしか見えないんだけど、確認のための魔道具があるんだよ。


 見せるべきか迷うが、見せない訳にはいかない。

 プレートに手を置くと、ピカッと光ってステータスが表示される。


 ステータスを見た大司教と助祭が絶句する。

 後ろの両親も動揺しているようだ。


 いや、これは寧ろワンチャンあるかも?

 誰も知らないチートクラスとかさ。

 クラスを授かってすぐにスキルが出るのは、上級クラスに多いし。


 名前的に全く強そうじゃないけど…


「すでにスキルが出ているとは、ヴィンセント様のクラスは上級かもしれませんね」


 表情が裏切ってますよ。

 目が笑ってないし、気の毒そうな雰囲気なんだけど…


 助祭も淡々と書き写してるし、絶対に期待はずれだったんだよ。


 はぁ~女神様が登場した時は転生チート特典かと思ったのに。


 説明もないし、結局なんだったんだよ。

 単に女神様が出たがりとかじゃないよね?


「大司教様、ヴィンセントのクラスはどういったものでしょうか?」


 父が大司教に問いかけるも、大司教も思案顔をしている。


「申し訳ございません。ヴィンセント様のクラスは寡聞にて存じ上げません。しかしながら、女神様は人々の助けになるために祝福をされます。ですからヴィンセント様のクラスにも、必ず意味があります。この世界に不必要なクラスなどはございません。くれぐれも誤った判断はなさらないで下さい。全ては神の思し召しなのです」


 あ~貴族はクラス差別が激しいから、釘を刺してきたな。


 うちの両親はそんな人じゃないと思うけど、貴族社会では弱味を見せないように、切り捨てる時はバッサリだよ。


 でもクラスが有利不利を決めるのも事実で、僕のクラスは絶対に貴族社会ではバカにされるよね。


 せめてクラスが書記官とか従者なら、下に見られる職ではあるが、文官や侍従として働けるから貴族の体面は保てたけど、お使いってなんだよってなりそう。


 でも前世の記憶のせいで貴族社会で生きる自信がないから、いっそ廃嫡されて平民として生きるのもありかな?

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