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「…ダンガル帝国復活の為に投資した人々は、その見返りとして、毎日のようにザギンでシースーしながら、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。おしまイ」
例の空き地に来てみれば、そこに集まった老若男女を前にウメコさんが、お得意の紙芝居を披露。本日もまた、モロ1世ともども『投資者』を募っています。
そう、ダンガル帝国なき今、サポーター制度は廃止。あらたに、クラウドファンディング制により、彼らは同帝国を復活させるつもりなのです。
「さあ、皆さん。いかがでしたかな。我々に投資する気になりましたかな」
あの等身大フィギュアの通り、輝かしき鎧やマント、さらに加えて重力調節ブーツといった姿。その一同に問う御仁こそが、元ダンガル帝国皇帝のモロ1世に他なりません。
「もちろん投資しますわんっ」
「私もですぅっ」
「アタシもホストに貢ぐのやめて、その分を帝国の為に投資するわっ」
特に女性たちを中心に、続々と声が上がりました。
まあ、既述の通りハンサムですからね、モロさんは。それが大いに、この活動に役立っているようです。
「では、こちらにご署名をお願い致します」
すると、たちまちモロ1世が女性陣その他に囲まれる中、ふと片隅の僕に気づいたウメコさんが、こっちに笑顔を向けてきました。
「テン殿ッ…」
僕も笑みを返しつつ見れば、本日もロボとは思えぬ美しさ。そのウメコさんの笑顔が、オレンジ色の夕日を受けてキラキラと輝いています。
きょうも我が町は平和なようです。
了
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