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同日の午後。
「さっきから何してるんですか、ウメコさん」
アパートの部屋の中、ローテーブルに着き着き、一冊のノートとにらめっこ。そんなウメコさんの向かいに座りつつ、僕は尋ねました。
「帝国のサポーターになってくれた方々のお名前やお住まいを、整理しているのでス」
ウメコさんが、パラパラとノートを捲って見せてくれます。
ふむふむ、すでにノートのほとんどが、文字で埋まっているようですね。
「また一段とサポーターが増えましたね。さすがはウメコさん」
なんて、喜んでていいんでしょーか。そのうち侵略を受ける予定の、地球人の僕が。
「でも、もっともっと増やさねば。このままでは、のちのち皇帝陛下に合わせる顔がありませン」
まあ、そもそもウメコさんの本来の目的は、ここ地球で、ひとりでも多く帝国のサポーターを募ることですからね。
『…オウトウセヨッ…オウトウセヨッ…』
おやっ、本日2度目。またもやウメコさんの通信機のスピーカーから、なにやら声が聞こえてきました。
「こ、今度こそは帝国からでしょうカッ」
はたと立ち上がったがウメコさんが、ささと通信機の側へ。その場に座り込むと共に、例のマイクを手に返します。
「こちらウメコっ…こちらヤマザキウメコでスッ…」
今度は出前じゃないといいですが…
『…コチラ、ダンガルテイコク…』
おおっ、ついにきましたかっ。
いま確かに、『ダンガル帝国』と聞こえました!
「テ、テン殿ッ…」
一瞬、僕と見合わせたウメコさんの顔の嬉しそうなこと。
ですが、
『…コチラ、ダンガルテイコク、ボウメイセイフッ…ワガテイコクハメツボウシタッ…クリカエスッ…ダンガルテイコクハメツボウシタッ…』
どうやら雲行き怪し。いま確かに『ダンガル帝国は滅亡した』と。
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