4

 通信機その他、なにか小型の機器類はいいとしても、『祈 地球征服』と書かれた横断幕を始め、国旗でしょうか。中央に鷲っぽい鳥が描かれた旗(やはりダンガル帝国の国旗だそうです)が壁に飾られ、また、その下の床には、大きな地球儀のような(ヨイトコ星の)模型が置かれています。


 しまいには、


「これで終わりでス」


 とウメコさんが最後に運び込んできたのは、なんと等身大の人形ではありませんか。


 高さ180センチくらい。銀色に輝く鎧や黄金色の冠、さらに赤色のマントや黒のブーツなど纏ったそれは、ウメコさん曰く、


「我が皇帝、モロ1世の等身大フィギュアなのでス」

 

 だそうです。おまけに全身可動の。


「しかし、ずいぶんと若くてハンサムなんですね。皇帝さんは」


 てっきり、白髪のおじーさんとか想像していた僕は、ちょっぴり意外に思いました。


「特に帝国の女性たちの憧れの的なのでス」


 応える傍らウメコさんが、そのフィギュアを、とりあえず片手で玄関の方を指差すというポーズに固定。帝国色が強まる一方の当室内です。


「ささ、テン殿。我が帝国のプレミアムサポーターとして、ワタシと一緒に我が皇帝陛下にご挨拶するでス」


 はて、これまた一体いつ僕が、ダンガル帝国のサポーターに? たしかに、あのステッカーは冷蔵庫に貼ってありますけど…

 

「さ、座ってくださイ」


「あ、はいはい」


 つい、つられて一緒に正座の姿勢。ウメコさんともども僕は、皇帝さんのフィギュアの前で伏しました。


 なぜ僕までが…?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る