キミ色に染まって
小一時間ほど前、僕とウメコさんは警察署から、かの宇宙船を引き取ってきました。
それは、やはり盗まれたとの事で、すでに容疑者は逮捕。でも、せっかく戻ってきたのに、その窃盗犯が乗り回したせいで燃料切れ。おまけに帝国との交信も、なぜか雑音がひどくて叶わず。
「これでまた祖国が遠のきましタ…」
2人して部屋の窓際。僕ともども、そこに座って外を見つめつつウメコさんが、ため息混じりに言いました。
「ですね…」
いま僕とウメコさんの視線の先には、あのアルミの灰皿をひっくり返したような形の、大きな銀色の物体が佇んでいます。
それぞ、ウメコさんの宇宙船に他ならず。ええ、ベタなUFOって感じです。
あらたに帝国のサポーターになった某地主さんのご厚意により、同御仁所有という当アパート隣の更地に、それをトラックで運んでもらったのです。
「我が皇帝…我が祖国ヨ…」
ウメコさんは、なかなか窓から離れられず。もちろん気持ちは分かります。
あ、でも待ってください。なんか急に閃いちゃいました。
「ちなみにウメコさん。この宇宙船は、いったい何で動くんですか」
「どうしてですカ?」
はたとウメコさんが、僕の方を見てきます。
「もしそれが分かれば、この地球でも代替品が見つかるかも知れませんし、あるいは燃料を作ることも出来るんじゃないかな、と」
でしょ?
「な、なるほドッ」
ウメコさんの目に輝きが戻ったように見えます。
「では、すぐに宇宙船に行って調べてみまスッ」
いても立ってもいられぬ様子。すくと立ち上がったがウメコさんは、勇んで部屋を飛び出していきました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます