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「16万光年といったら、光の速さで…16万年かかるっ!?」


 あいや、そんな行ける訳ありませんがな。どうりで、NAXAもWASAも冷たいはずです。


 しかし、16万光年もの距離を、わずか15日ほどでやってくるとは…これは、ダンガル帝国の技術おそるべし、です。

 

「なんか、変に期待させてしまって申し訳ない…ウメコさん」

 

 己の無知を反省する事しきり、な僕です。


「どうかお気になさらずに。そのテン殿のお心遣いだけでも、100ペソはオツリがきます。我が帝国が地球征服を果たした日には、テン殿を大僧正に取り立てて頂くよう、皇帝陛下に進言したいと思いまス」


 なんか、いきなり僧侶になっちゃってますが…まあ、それはよしとして、今度は逆に僕のスマホに着信がありました。


 おっ、警察からです。ということは、もしかして…


 期待の表情。そのウメコさんの視線を一身に、僕は電話に出ました。


「はい、もしもし…ええ、そうですが…えっ、宇宙船が見つかったですって!?」


 や、やっぱり。がぜん目を輝かせるウメコさんに向かって、僕は幾度も頷いてみせました。


「…はいっ、すぐに伺いますっ」


 かくして通話も手短に、僕とウメコさんは、急ぎ最寄りの警察署へと向かうのでした。

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