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 やがてアパートに戻った後、ローテーブルを囲みつつティータイム。そんな中、ふと僕はウメコさんに尋ねてみました。


「ところで、ウメコさん。ダンガル帝国って、どこにあるんですか」


 いままで肝心のそれを聞くのを、すっかり忘れていたことを、急に思い出したもので…


「我が帝国は、大マゼラン雲の中のヨイトコ星にありまス」


 行儀よく正座の姿勢。言ってウメコさんが、にっこり頷きました。


「大マゼラン…ですか。遠いんですかね、そこまでは?」


 マンガ原作者といえど、宇宙物などは書かぬ僕ゆえ、ちょっとピンときません。


「さあ、ワタシは15日くらいで来ましたけド…」


「あ、じゃあ割と近いのかも知れませんね。なら、この地球のどこかの国でロケットを打ち上げたりする時とかに頼んで、一緒に宇宙船に乗せてもらえば、あるいはウメコさんが、帝国に帰れる可能性も出てくるんじゃないでしょうか」


「そ、そんな技術があるのですかっ。この地球にモッ」


 僕の素人考えにも大きく反応。はたと乗り出すウメコさんです。


「ちょっと問い合わせてみましょうか」


「お願いしまスッ」


 えっと、まず我が国の宇宙開発といえば、確か『NAXA』でしたっけね。


 じゃあ、その電話番号をスマホで検索、と。


「あ、ありました。さっそく電話してみましょう」


「よろしくでス」


 ウメコさんが見守る中、さっそく僕は番号を入力。スマホを耳に当てます。


 そして、幾度かの呼び出し音の後、相手の声が聞こえてきました。


「あっ、あの、もしもし…ちょっとお聞きしたいことがありまして…」


 さあ、いよいよ本題へ突入です。

 

「…ええ、実は大マゼラン雲というところまで行きたい人がいるんですが、そっち方面に行くロケットの打ち上げ予定などは…」


 あ、いまのところないそうです。残念。


 ならばこの際、宇宙開発先進国のワメリカ合衆国の『WASA』へ電話を…


「…あ、切られちゃいました」


 どうやらイタズラと思われてしまったようです。いやー、まいりました。


 そこで、ついでに調べてみれば、大マゼラン雲までの距離は約16万光年とあります。

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