悪魔冷嬢のお仕事は、地獄転生者を代理でいたぶること
第2話・悪魔になって、人間だった時よりも、やりたい放題ですわ
しゃがんで、マルコキアスの頭を撫で撫でしている卍華に、感電防止の絶縁のゴム手袋をしたクラスメイトの一人が恐る恐る質問する。
「それで、卍華さんはどうして地獄から現世に?」
「それは、悪魔のお仕事をするためですわ。上位の悪魔から頼まれて」
「悪魔から頼まれた、お仕事?」
立ち上がった卍華は、黒い悪魔の尻尾を軽く握って回す。
「わたくし、地獄に落ちた時。幾層にもなっている逆円錐形の地獄の底を何枚もブチ抜いて落ちていきましたわ……後で知ったコトですけれど、わたくしが落ちた地獄は『性格とか根性が悪い者ほど、地獄の責めを吸収して悪魔化して力に変える』構造でしたわ」
卍華の話しだと、卍華が落とされた地獄では。
悪魔たちが、地獄に落ちてきた人間を焼けた網の上や煮えたぎる水銀の釜や鍋の中に入れて、火力を強めるために風を送っている炎の地獄や。
全身が凍結して、砕けて寒風の中で再生を繰り返す氷の地獄もあったらしい。
「和の地獄を期待していたのに、なぜか西洋風の地獄に落ちてしまいましたわ……もっとも、わたくしの性格でしたら。血の池地獄のパワーや針山地獄のパワーも吸収して、協力な虎柄水着の女鬼に変わっていたコトでしょう……おほほほっ」
卍華の話しは続く。
「強力な新参の悪魔となった、わたくしに次々と先輩悪魔たちが挑戦してきましたわ。
どうやら、それが新参者の実力を試す、悪魔の儀式だと……戦いを挑んできた悪魔は、ことごとくねじ伏せてやりましたわ……おほほほっ、この、マルコキアスもその一匹ですわ」
机と椅子で作ったバリケードの後ろに隠れた、質問生徒が卍華に質問を続ける。
「それで、どうなったんですか?」
「地獄で、わたくしの猛者の噂を耳にした地獄耳の上位悪魔が。ぜひ、自分に代わって仕事を引き継いで欲しいと頭を下げてきましたわ……まっ、当然ですわね地獄でも、わたくしの実力が認められたのですわ……おほほほっ」
「それは、どんな仕事で?」
「それは……ですねぇ」
ドS級の笑みを浮かべた卍華が、広げた
卍華は、教室の隅で怯えている一人の男子生徒に近づき、指差して言った。
「地獄転生の呪いをかけられた【
名指しをされた、池煮江くんは。
「はえっ?」と、いう顔をした。
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