第39話 回復能力

「緑の悪魔の回復能力は、そんじょそこらのものとは違う。なんと、腕がげようが、心臓が破壊されようが、奴の回復能力なら、一瞬で治るのだ!!!!!!」

「⁉︎………………⁉︎」

「2回驚いたな…。奴の回復能力にはそんなに強い力があるんだよ!俺も、こことここを赤の悪魔にえぐり取られたけど、一瞬で治った」

「マジか………ってか、赤の悪魔って……」

「人間だよ!!!!!!」

クライットは大声で言った。その直後どこからかロミリアの声が聞こえた。クライットは口を抑えた。

「そうだった…。ロミリアいるんだったここ!助けてルー〜〜〜〜⤴︎⤴︎!!!」

「わかったわかった……だから抱きつかないで!(ここには変人しかいないのか)」

その時ルーの耳にクライットの鋭い爪が当たってしまった。

「いってぇ!」

「ああごめん!!!!!!!!!!!!俺の爪めちゃくちゃ鋭いからさ。触れただけで切れちゃうんだよね」

ルーの耳元から血が垂れてきた。ルーは呆れながら血を拭いた。

「もう……なんか、疲れた。何もしてないのに」

「待って。何か聞こえない?」

「………ん?何が?」

「俺、耳がいいんだ。………なんかの、足音のような……?だんだん大きくなってくる」

「⁉︎……もしや⁉︎」

ルーは背後を空中で横に回転しながら蹴った。

「グワァァァァァァァァ⁉︎何をするのよ⁉︎………って、あらカンガルーちゃん。奇遇だわね。血の臭いを辿ってきたら、まさか出会うなんて♡それにコウモリちゃんじゃない♡誰も逃・が・さ・な・いわよ♡♡♡♡♡」

「やっぱり!!!!!!!!!!!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎ロミリア⁉︎」

クライットは泣き出したら。ルーは彼を引っ張って逃げた。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ルールールールールールールールールールールールー!!!!!!後ろにいる、よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

「君も立って逃げろ!!!!!!」

「熱い熱い熱い熱い熱い熱い!お尻が熱い!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「立って逃げろよ!!!!!!」

クライットはやっと立って逃げた。いや、飛んで逃げた。羽を広げると3mもある彼の翼に吹っ飛ばされ、ルーは窓からビルの中庭に落ちていった。

バリィィィィィィンン

「⁉︎……え⁉︎」

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ………ズトォッ
























「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ……………………」

クライットは息を殺して、羽を丸めて隠れた。ロミリアのカタカタとなる足音が聞こえてきた。

「……フフ……………フフフ……………フフフ、どこにいるの〜〜〜〜?」

「………………………………………」

彼女の影が見えた。……こちらには気づいていないようだった。

「…………行ったか」

彼の心拍音は胸に手を当てなくてもよく聞こえた。その時、奥からミシミシと畳を踏む音が聞こえた。

「⁉︎……何⁉︎何が来るの⁉︎」

「……お腹……空い…た……母……さん」

痩せこけたカメレオンが来た。腹の一部が抉れており、口には血が。とても見てはいられない姿だ。

「ひっっ!!!!!!こ、来ないで!!!!!!!!!!!!来ないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

「喰わせろ」

カメレオンは舌を伸ばした。クライットは手を前にやって怯えた。

ブシャァァァァァ

「⁉︎………な、なんで……く、食いたい。食いたい。食いたい!!!!!!!!!!!!」

カメレオンは激怒した。
























ルーは中庭の石畳の上で息を整えていた。誰もいない真っ暗な中庭から、ちょうど高いところにある月が見えた。

「(もうあんな高いところに月が)」

クライットとも逸れてしまった。なんとか脱出したいものだが、彼を置いてきぼりにするわけにはいかない。だが、先に脱出ルートを確保したかった。

「………行くしかない!!!!!!」

彼を導くように、扉が1つ開いていた。

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