第37話 緑と赤の悪魔

芋虫は奇声を上げながら突進してきた。さらにデカいアームを頬から出し、荒く開閉しながら迫り来るその姿は、狂人そのもの。

「(精神がおかしくなってるな。相手の攻撃は見当がつかないから気を引き締めろ…)」

ルーは芋虫のアームが閉じた瞬間アームを蹴り、真後ろへ跳んだ。その直後芋虫の脳天に向けてかかとを振り下ろした!

「ぐっ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」

そしてルーは着地すると芋虫の鼻に膝をぶつけた!

「ぐわっっっっ⁉︎⁉︎いってぇ!!!!!!」

「…………ハァ……ハァハァ…」

「…………チッ…………な、なかなかやるなぁやっp」

芋虫は喋りながら気絶した。ルーはため息をついた。

「変な人に絡まれたな。……ところで、赤と緑の悪魔とはなんだろうか?」

彼が言っていたことは嘘とは思えない。なぜなら本当にここには誰もいないからだ。まだ芋虫しか見たことない。

そんな時、遠くで大爆発がした。ルーが駆け寄ると、そこでとんでもないものを見た。





なんとそこには銃火器を大量に持った自立歩行していると、赤いマントをつけたの女性の剣士がいた。2人は戦い合っている。

ジャキッ

人間が刀を薙ぎ払う。植物はつるを信号機に絡めて、上に避ける。そして信号機の上から銃を撃った。

バキュンバキュン

カキーーーン

人間が刀で銃弾を弾き、高くジャンプして信号機を斬った。植物は手足と思われる斬り落とされたが、すぐに再生した。

「…………」

「…………」

「⁉︎…」

ルーは驚いた。十二支の参加者に限らず、獣崎の住民は戦闘時は、まるで相手を舐めているかのようにベラベラと喋り、にこやかに笑う、サイコパスなのだ。いわゆる戦闘狂。そして、この街にいる者は皆んな戦闘狂だと芋虫が言っていた。

…しかし、この2人は戦いを楽しんでいるとは思えない。とても真剣な表情で、一瞬の隙も見せない。そもそも人間がいる時点でおかしかった。獣崎は人間社会とは隔離された土地なのだから。

「…………!」

人間はルーの存在へ気づくと、猛スピードで彼の首元に刀を向けた。ルーはその凄まじい威圧感と風を感じた。そして、咄嗟に手に石を持ってガードすると、彼女の腹を蹴った………と思いきや、既に彼女はもういなかった。

「(…⁉︎……後ろ⁉︎)」

ルーは背後からこれまでに無い殺意を感じ、しゃがんで刀を避ける。その後足払いし、彼女を転ばせた。しかし彼女はすぐにバック宙し、ルーの追い討ちを回避する。

「………ね、ねぇ?き、君は人間だよね?」

人間は全くルーの話を聞かず、刀を向けて走ってくる。つい会話するだろうと思い込んで、ルーは油断していた。その時。

シュルルルルルルルルルルルル

先程の植物が蔓で彼を捕まえ、上空へ避難させた。

「⁉︎……!!!!!!!!!!!!!」

人間は刀を植物に向けた……瞬間に、植物の銃に肩を撃たれた。

「ぐっ!!!!!!!!!!!!」

「⁉︎…………」

人間が地に手をつけたのを確認すると、植物はルーを下ろしてどこかへ行ってしまった。

「………??????」

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」

荒い息遣い、ルーは今までに感じたことのない恐怖を感じた。

「(に、逃げた方がいい……のか?)」

あまりの恐怖に彼は逃げてしまった。

「(おそらく廃病院で出会った剣士は多分あの人だ……!赤いマント……赤い悪魔とは彼女のことか⁉︎…緑の悪魔はあの植物だろうか?)」

ルーは廃墟となったビルに逃げ込んだ。

「ふう………ああ、危なかった…」

「廃墟は危なくないのかしら?wwwww」

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