第33話 水を無くした魚

偽物は泡を吐いて、攻撃する。しかし簡単に破れるものだった。

「力が少なくなっている。弱ってきてるな」

ルーは猛スピードで逃げ回る本物に追いつき、追撃を喰らわした。

「痛えぇ!やめろカンガルー!回復阻止すんな!!!!!!!!!!!!」

キャノンフィッシュは分身を吸収し、元の大きさに戻った。

「テメェらには最高に苦しんで、死んでもらう!俺を殺すことも、逃げることもできないからな!!!!!!!!!!!!」

キャノンフィッシュは全てのアンテナを伸ばした。すると突然ルーとウォクトは引き寄せられ、空中で固定された。

「あれ⁉︎体が、体が動かない⁉︎」

「………この肌触り、空間の乱流だ!空間を我々の方に流して、固定しているのだ!」

「そうだ!!!!!!上を見ろ!あの水にお前らは飲まれて、窒息死するのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!さぁ、苦しみ、共に絶望して、この世から消えるがいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ポタポタと水滴がルーの腕に落ちる。真上にある水が滝のように降り注ぎ、2匹を窒息死させるつもりだ。

「あともう少しだったのに…………無念…」

「………ここで、終わり、なのか?……………………」

「これでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、終わりだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

ズボボボボボボボボボボボボボボボボボボボバボボババボボボボバゾゾバババボボゾボボボボボボボボボボババボババババボボボボボボボボボボボ

水が滝のように、天から降り注ぐ。ルーたちの旅は窒息という形で終わってしまうのか?


















ブシャァァァァァァァァァァァァァ





突然滝が止まった。

「ぶはぁぁっ、ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ……なんだ?」

「…………………ん?あ!!!!!!」

ヘラクレスキャノンフィッシュのアンテナが消えていたのだ!!!!!!

「ハァァァァァァァァァ??????おい誰だよ!!!!!!!!!!!!」

キャノンフィッシュの真横には、ナマジュがいた。やっぱり、そんな気はした。

「ナマジュ…………あ、そうだ!ルー、いくぞ!!!!!!」

「え⁉︎ああうん!!!!!!」

ウォクトは触手を伸ばして、キャノンフィッシュの薬物ビンに掴まった。

「うわぁ!!!!!!やめろ!!!!!!離せ!!!!!!バケモノ!!!!!!」

「どっちがバケモノだよ!!!!!!」

ウォクトの触手が太くなり、ビンを引き抜こうとする。少し上に上げると、血が飛び出てくる!

「(ダメだ!時間がかかるすぎる。なら、全てのビンを一気に引き抜けば!!!!!!)」

ウォクトは触手を駆使して、全てのビンにまとわりついた。ルーもキャノンフィッシュの頭部に、足を向けながら跳ぶ!

「引っこ抜けーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」








ズドォォォォォォォォォォォォォォォブシャァァァァァァァァァァァァァァァ

ルーが蹴った反動により、ウォクトは全てのビンを引き抜くことに成功した。

「ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

ヘラクレスキャノンフィッシュの体は薄汚い声を上げながら、どんどん小さくなっていく。とうとうフェライクよりも小さくなってしまった。

「ちっちゃ!!!!!!」

「油断するな!逃げるために体を小さくしているかもしれない!」

「ウォクトさん…………」

ナマジュがウォクトの元へ駆け寄ってきた。

「私………活躍できましたでしょうか?」

「ああ!もちろん!お主は大活躍した!」

ナマジュのほほが赤くなった。見た目はあれだが、こういうところは少女っぽい。彼はそう思った。












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