第29話 八つ当たり
バキッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ
「……………?」
ルーやウォクト、スクイックスは目を開けた。彼らの目には、衝撃的なことが映っていた。
フェライクのウルトラジュエルが、砕けていた。そして、スクイックスの触腕の上にはナマジュがいた。
「…………もしや、ナマジュか?」
「……………ど、どういうことなんだよ!」
「………すごい、一瞬で砕けちゃった」
フェライクは震えていた。ジュエルが一瞬で砕けてしまったことよりも、あのナマジュがルーをも超える力を持っていたことに。ルーでさえあのウルトラジュエルを破壊するのに苦戦していた。
「………う、そ、だろ。ウルトラジュエルが、砕けた………?ま、まさか、せっかくあんなに苦労して、計画も練って、時間をかけてきたのに…?俺は、負けたのか?」
フェライクの巨大な手足は崩れていき、生首だけがエメラルドの海に落ちた。
バシャァァァァン
「………俺は、苦労人なのに!何故、何故報われないんだ!!!!!!おかしい!」
「………フェライクさん………」
ナマジュが静かに話しかけた。謎の威圧感を放っている。
「な、なんだぁ?俺はお前を憎むのに忙しいんだ。ってか、翡翠波動は触れた生物を宝石に変えるのに、何故お前は!!!!!!360度全方位に放たれるんだぞ⁉︎」
「さぁ、何故でしょうね。………フェライクさん、あなたは目立ちたくて、このような行為をしたのですね?きっと過去にお辛いことがあったのでしょうが、自身の過去を理由に、世間に迷惑をかけてはいけません。八つ当たりです、ただの」
「………な、なんだと⁉︎このバケモノナマズ!」
「それも八つ当たりです。相変わらず………、せっかくルーさんやウォクトさんとお友達になれたのに、それらも踏み潰して、あの人たちに振り向いてほしかったのですね。………でも、あなたのことは、私は覚えていましたよ」
「ああ?…………………も、もしかして、お前、……ジュディーなのか?」
「はい。そうです………あなたの唯一の友達でしたね。…………でも、もう、見損ないました…………………………」
ナマジュ、いや、ジュディーは外壁に戻った。フェライクは驚いたような顔をしていたが、やがて気味悪い顔に変わった。
「これで終わったと思ってるのか?ジュディー、まだなぁんも解決してない。ヘラクレスキャノンフィッシュも、まだ生きている。君らは英雄を殺した罪に問われて、処刑されるのだwwwww。それに、俺が犯罪者としてブラックリストに載ろうが、あいつらが気づいてくれるのなら、なんだっていいんだ!そして、ルー、ウォクト、あとスクイックス!君らももうすぐ僕のところに行くことになるんだ。その時は、また、一緒に遊ぼうねーーー!じゃあ、バイバーーーーイ!!!!!!」
ズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォンズドォン………………
フェライクの生首は爆発しながらエメラルドの海の底へ沈んでいった。そして、エメラルドの海も消えた。
ルーたちは言葉が出なかった。話の展開が早いのもそうだが、なんだか喋ってはいけないような雰囲気だった。
そして、ウォクトは疑問に思っていた。ヘラクレスキャノンフィッシュは倒したはず。なら、大丈夫なのではないか?……そう思っていたのだが、改めて考えると、遺跡の内部で倒したヘラクレスキャノンフィッシュは、ナマジュが協力してくれたとはいえ、弱すぎたような気がした。それに、昼行性なのにも関わらず、活発に活動していたのだ。
「………もしや、彼はヘラクレスキャノンフィッシュではない?」
「どうしたの?」
ルーがウォクトに聞いた。ウォクトは独り言だと言って誤魔化した。
「確かにあの蟹は、夜なのにも関わらず、静かにしろと怒鳴っていた。……もしフェライクの言ったことが嘘なのだとすると、ヘラクレスキャノンフィッシュは…………夜行性なのか⁉︎」
「ヘラクレスキャノンフィッシュ?」
「ああ、フェライクの言ったことが嘘なのだとすると、もしかするとヘラクレスキャノンフィッシュは夜行性なのかもしれない。蟹が怒鳴っていただろ?静かにしろと。フェライクはヘラクレスキャノンフィッシュが昼行性だと言っていた。そこが矛盾しているんだ」
ルーは納得した。
「確かにそうかもしれない………。僕、ここで無限に続く廊下を通ったんだけど、確か、ヘラクレスキャノンフィッシュの能力は、空間を操る能力…。彼が死んだら能力はなくなるはずだから、まだ彼は生きているっていうことになるね」
「ああ、そういうことだと思う。もしかすると………いや、どこまでが嘘なのか分からん。とにかく、気を引き締めていこう」
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