第19話 遭難

祠の中は外観よりも広かった。ウルトラジュエルは無い。

「あれ?何もなくnって、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」

 3匹は突然床が抜け、落ちてしまった。









「掴まれ!」

 ストッ

 ヒュルルルルルルルルルルルルルル

 ベチャッ

 真っ暗な空間で、ウォクトは凹凸に触手を入れて掴まり、ルーとフェライクを触手で巻き取った。

「ありがとう」

「ヒャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ、下!下が無い〜!」

 フェライクはパニックになり、触手の中で暴れる。

「おいフェライク!やめろ!お主だけでなく、我々も落ちてしまう!」

「フェライク!やめろ!」

「僕たちもう死ぬんだ!やだこんな真っ暗な空間で死ぬなんて〜!太陽光浴びたいよ〜〜」

 スルッ

「あ!」

 フェライクが触手から抜け落ちてしまった。頭から真っ逆さまだ。

「ああもう、あいつ!ちょっと酔うかもしれんが、耐えろルー」

「えぇ⁉︎」

 ウォクトは壁を伝って下へ降りていく。しかしフェライクの落ちるスピードの方がやはり速い。しかも真っ暗なので、フェライクがどの位置にいるのか全く分からない。

「痛っ!」

「ああすまん拙者の触手だ」

「痛っ!!!」

「ああすまん拙者の触手だ」

「痛っ!!!!!」

「ああすまん拙者n」

「知ってる触手でしょ」

 ルーは呆れた。ウォクトはなかなかフェライクを掴めないことに焦っていた。





 ドボォオォォォォォォォン


「⁉︎…水⁉︎」

 2匹は急に壁が無くなったと思うと、水に落ちた。先程の空間よりも広い。

「ぶぐっ⁉︎……(酸素!酸素がほしい!)」

 ルーはいきなり水に落ちたため、酸素が足りなかった。

「ぶふぁぁ、はぁはぁはぁはぁ」

 バシャァン

「おいルー。フェライクがいないぞ。お主は陸を探して上がってろ。拙者が探す」

「OK。ありがと」

 ルーは出来るだけ水中に潜らないように、泳ぎながら陸を探した。しかしここもかなり暗い空間で、しかも天井も低いので、見つけづらいし、泳ぎにくい。

 一方ウォクトは水中を泳いで、沈んだと思われるフェライクを探していた。水中なので声を出すことができないであろうフェライクを、目と触手の感覚だけで探すのは困難である。そんな時。

「(⁉︎……いた!)」

 触手の先っぽに何か感触を感じたウォクトは、上へ引き上げる。

 ブシャァァアン

「見つけたフェライ……ク?」

 掴んでいたのは長いナマズだった。目が退化しており、ブヨブヨのデカい唇の先に小さな針がたくさん生えている。体表面には黄色い斑紋はんもんがある。

「誰?あなた。私になんの用ですか?命だけは…命だけは見逃して……」

 ナマズは清らかな、透き通るような声で命乞いした。

「思ってたんと違う(色んな意味で)。拙者はここで遭難してしまったのだ。はぐれた仲間を探しているが、誰か見ない顔の者はいなかったか?」

「実は、私も遭難してるのです。すみません……お役に立てずに」

「謝らなくてよろしい。では協力しよう。拙者はウォクト。お主の名前は?」

「ナマジュでございます。すみません、ご迷惑をおかけして」

「遭難してるのだ。それに、協力に迷惑なんて存在しない。出口と仲間を探すぞ」

「はい………………」





















ルーは陸で仰向けになっていた。たった今陸を発見したのだ。落ちていたビンを枕代わりにして、休んでいた。

「ハァハァハァハァハァ(天井が低くて、気分が悪くなりそう……。ウルトラジュエルは?フェライクは?……どこに)」

体力がそこそこ回復したため、フェライクとウルトラジュエルを探すことにした。



改めてルーは辺りを見渡すと、どうやらここは小さな浜辺のようだ。しかし生き物の気配はない。

「何か通路はないか?それとも孤島かな?」

壁があったので、部屋の端の島であろう。ルーが絶望しかけたその時、光がどこからか漏れてきた。

「⁉︎………もしかして!」

光を目指して進んでいくと、アーチ状の通路が見えた。中に入ると、なんと外に繋がっていたのだ!外といっても、周りは外壁に囲まれた中庭だが。光は月明かりだったらしい。

「や、やった………でも、フェライクとウォクトが………………探しに行かなきゃ」

ルーは向かい側にあった通路に入った。

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