第18話 亀

予想通り、廊下を抜けると中庭に続いていた。瓦礫や岩の近くにはまたビンが散らばっている。

「ビンだらけだな。一体なんなんだ」

「ねぇ、あれじゃない?」

ルーが指差す方向には、祠のような建物があった。

「きっとあれだよ!」

フェライクが祠へ向かって無邪気に走っていった。

「おい待て!!!!!!」

「フェライク!」

フェライクが転がっていた煉瓦に乗ると、突然地面が浮かんだ。

「⁉︎⁉︎」

「地面じゃない!亀だ!」

ウォクトの言う通り、地面の下から巨大な亀が現れた。彼もウルトラジュエルを狙っているようだ。

「俺の背骨を踏んだだろォォォォォォ!!!!!」

亀は荒い声でフェライクを睨む。そして巨大な手でフェライクを掴んだ。

「⁉︎…フェライク!」

「ルー、いくぞ!」

ルーはウォクトが伸ばした長い触手に乗り、亀の手に向かって走った。

「フェライク!」

亀の拳を蹴ったルー。しかし拳は岩のように硬く、ダメージが一切入らない。

「かたっ!!!!!!」

「俺の拳を舐めちゃ困る。俺は皮膚と甲羅の硬さだけが取り柄なんだ!進化を全て硬さに注いだ」

「唐突な自虐ネタ」

ウォクトがツッコミながら落ちてきたルーをキャッチする。

「硬さだけが取り柄ということは、おそらく我々では対処できない!何か良い作戦はないか?」

「えぇ………?どうしようか。ん?皮膚と甲羅の硬さだけなら、なんとかなる!内部はきっとそこまで硬くない!」

ルーはウォクトから離れると、作戦を喋った。

「ウォクト!触手を亀の周りに縦横無尽に伸ばして!その上を僕が走る!攻撃されても絶対縮めないで!」

「お、おう!」

ウォクトは8本の触手を亀の周りに縦横無尽に伸ばした。

「こんな柔らかい触手、俺でも倒せるwww」

亀は拳を腹の前の触手に振り下ろそうとした。しかし寸前のところでルーが蹴りで拳を受け止める。

「クソッ、こんなチビに負けてたまるか!」

「亀さーん!こっちだよ!」

ルーは亀の注目を集める。亀が拳を振り下ろすと、ルーがそれを蹴りで受け止める。これを次々と触手に飛び乗りながら繰り返した。

「クソッ、ちょこまかと動き回るゴミめ!死ねよ早く!」

亀が体を捻った瞬間!

ボキッ

「ぐおっ⁉︎⁉︎」

亀の動きが止まり、フェライクを掴んでいた手を開いた。

ズドォォォォォン

亀は横倒しになった。ウォクトは戸惑った。

「何故??????」

「皮膚と甲羅だけが取り柄なんだから、頭も良くないんだと思う!そして、進化に注いだものが皮膚と甲羅だけなら、骨はかなり弱いはず!体を捻らせて骨を折らせたんだよ!」

「なるほど!ルー、お主天才だな」

ウォクトはフェライクの手を繋ぎ、ルーは2匹の近くに着地した。

「天才じゃねぇよ!このカンガルーが!」

亀は強靭な尻尾で3匹を薙ぎ払ったが、カンガルーは2匹を抱えて高くジャンプして避けた。

「トドメ!」

ズドォォォォォンズドォォォォォンズドォォォォォンズドォォォォォンズドォォォォォン

ルーは亀の腹を5回踏んで、その後地面に着地した。

ボキッボキッボキッボキッボキッ

スタッ

「ふぅ、大丈夫?フェライク」

「うん。ありがとう」

「お主、なかなかやるな。けどよ、亀の骨を外側から、しかも腹に5回着地して全部折るのは少し引いた」

「そう?」

ルーは2匹を降ろした。周辺にはもう3匹以外の動物はいなさそうだ。

「まさか亀が擬態してたなんて……。あー、怖かった」

「僕も擬態能力とか持ってれば、もっと強くなれるんだろうなぁ」

「お主もうその時点で強いだろwwww」

「とにかく2人とも!早速祠に入ろうよ!」

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