第15話 怪物
「君、名前は?」
「ウォクトだ。お主は?」
「ルー。よろしく!」
ウォクトは何やら紙を出した。どうやら地図らしい。
「この地図は十二支を決める神社までの地図。あの大陸に神社があるらしいんだが、困っていてな、そこにあのダイオウイカがやってきたわけだ。粗暴なやつでな、苦労していたのだ」
「何に困ってたの?」
「実はな、あの大陸に神様が遺跡を作ったらしいのだ。中にはとんでもない宝物があるらしくて、それを使うとめちゃくちゃ強くなるらしい」
「それがどうした?」
「拙者もその宝物をなんとしてでも手に入れたいのだ。しかし、遺跡の内部は謎解きが多いらしくて、な?察しろ。拙者は謎解きのような、頭を柔らかくしなければ解けない問題が苦手なのだ。だから頼む、宝物はお主にもやるから、拙者に力を貸してくれ!」
「…………ん、まぁ良いよ!謎解きは苦手だから足手纏いになっちゃうかもしれないけど」
「感謝する。では早速その遺跡へ向かおう。どんな宝物だか今からでも楽しみだ」
「ただ謎解きが苦手じゃ2人いても意味無いんじゃない?」
「そうだな。では現地で仲間を集めよう。十二支だから敵対するかもしれんがな」
2匹はその大陸を目指して、泳ぎ始めた。
「着いた。ここが目的地の大陸だ。神社は………………あの山の上だなwwwww」
ウォクトが触手を指す。ルーが見上げてみると、そこには、とんでもなく高い山があった。
その山には、深い森、繁茂した都市、頂上に鎮座する鳥居。遺跡といい、森といい、都市といい、鳥居といい、四天王のようだ。
「………すごい威圧感がある」
「怯えているのか?それでは十二支は目指せぬ。ルー、今までどんな旅をしてきた?」
「そうだなぁ、神殿と戦った」
「??????????????????」
「……………まぁ分からんよね……?」
初見じゃ絶対頭おかしい人だと思われるだろう。まあ一応神殿と戦ったことは真実である。
「………そうか、まぁそんなことはどうでも良い。行くぞ!遺跡はこの森の奥深くだ!」
「うん!!!!!!!!!!!!」
2匹が元気よく、えいえいおー!と叫んだ途端。
「やめろバカ間抜けアホくそったれ」
わずか1秒で罵詈雑言を吐かれた。流石に驚いた2匹は、声のした方を見る。そこには小さな蟹がいた。
「お主か?我々に罵詈雑言を吐いた命知らずは」
「ああそうとも!俺が貴様らに吐いた。命知らず?なぁに、奴から逃げ切った数少ない英雄なんだぞ!貴様らなんてちっとも怖くない!」
蟹は特に2匹をバカにしているようには見えない。とても真剣に話しているように見えた。
「奴?誰なの?」
ルーが聞いた。蟹は驚いた顔をして、辺りをキョロキョロ見渡すと、2匹に駆け寄ってきた。
「奴?……って、貴様ら知らないのか?ここにはとんでもない
「なるほど。そいつが出てくるから大声を出すな、というわけだな?その様子だと」
「分かってくれるならいいんだ。貴様ら遺跡に行くんだろ?そいつも遺跡に住んでいるんだ。やめとけ」
「でも遺跡に超強くなる宝物があるらしくて………もしかして神様はそれを分かっていて遺跡に隠したのか⁉︎」
「さぁなどうだろう。俺は十二支には興味無い。でもこれ以上犠牲を増やしたくないから、絶対行くなよ?いいな?俺は貴様らのためを思って言っている!」
だからと言われても、融通が効かないルーは、その宝物を理由に蟹の言うことを聞かない。蟹もキレてきた。
「おいルー、一旦落ち着け。お主は確かに宝物が欲しい。しかし、命の方が大事だ。命が無いと、何もできない。お主は命が無くても神社に行けると言うのか?」
「……………分かったよ。でも、でも、宝物ってどんな物なの?」
「さぁな、分からん。まぁ金とかそんなんじゃん?とにかく絶対行くなよ!奴が倒されない限り、遺跡へ入ってはいけない」
蟹は2匹が見えなくなるまで叫び続けた。彼が1番うるさい。
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