第14話 三つ巴?

だんだんとダイオウイカが真っ赤になっていく。どっかで見たことあるイカと言いたいところだが、そんなこと言ったら殺されるだろう。

「クソッ、もういい!!!!!!死ね!!!!!!」

ダイオウイカはデカい触腕を薙ぎ払った。ミズダコは高くジャンプして避け、8本の触手を連続で突き出す。

「そういやお前は触腕無いよなwww」

「だからなんだ!!!!」

ミズダコはダイオウイカの触腕にへばりつくと、触手全てに力を入れた。すると。

ブシュブシュブシュブシュブシュ

「⁉︎」

「お主の血管は欠陥してるな」

触腕から青い血がドロドロと垂れている。

「………我輩はまだ本気を出してない。三つ巴といくか!!!!!!!!!!!!」

「三つ巴?まぁなんでもいい。イカよりタコの方が優れていることを思い知れ」

「え、僕も喧嘩に入るの??????」

よくわからないが、ダイオウイカがルーに攻撃してきた。

「(本当に三つ巴みたいだぞ…。イカやタコは骨も無いし体も弾力性があるから、石や蹴りが効くのか⁉︎)」

ダイオウイカの振り回す触腕に乗ったルーは、ダイオウイカの顔面を蹴ろうと構えながらジャンプした。

「そんななまくらな攻撃が通じると思うな」

ダイオウイカの漏斗から大量の墨が噴射された。

「⁉︎」

速度も速く、予備動作も無いため、ルーは直撃してしまった。

「目に入った!!!染みる!」

「アハハハハハ、カンガルーは蹴ることしかできないのか?」

「こっちを見ろダイオウイカ!!!!!!」

ダイオウイカの死角から爆弾が投げられた。

ズドォォォン

「なんだ⁉︎タコか⁉︎」

「これも頭脳明晰なタコならではの技だ!」

「うわァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ、海水で洗うともっと目が染みる〜〜〜〜」

「そりゃそうだろ」

ダイオウイカは呆れながら触腕をミズダコに構える。ミズダコも爆弾を8個構える。

「(爆弾じゃダイオウイカに効かない…。ならナイフならどうだ…。しかし刃物なんて無い………)」

ミズダコは焦っている。その様子はダイオウイカにもわかるようだ。

「お前は武器で戦うしかなさそうだな。その肝心の武器が無いんだろwwwww」

「(墨も目眩しにしか使えない。こいつを倒すには……。確かサメを殺した時は、フォークを鼻と目に刺した気がする。フォークがあれば触腕も切れるかもしれん)」

ルーは我慢しながら墨を洗い落とすと、フォークを構えた。

「今度こそ勝負だ!!!!!!」

「(フォーク⁉︎)」

ルーは水面を蹴って高く飛んだ。優に13mを超えるダイオウイカを軽々と越し、遥か高い地点から、フォークを下に向け、落ちてくる。

「テメェも死にたいか⁉︎なら殺してやるよ!」

ダイオウイカは触腕を巨大化させた。元々人よりも大きな触腕が、トラックよりも大きくなった。

「(あの触腕を切れれば!)」

向かってくる1本の触腕を横に回転してかわし、もう1本の触腕を蹴って躱した方の触腕に突き刺す。

「(何⁉︎)」

フォークの刃を下に向け、ルーは落ちながらその触腕を切り続ける。もう1本の触腕はルーを狙って飛んできた。

「(回転すれば2本同時に切れる!!!)」

触腕の先っぽがルーの尻尾についたと同時に縦に1回転し、2本同時にフォークを突き刺した。

「⁉︎……あんなフォークで我輩の触腕が切れた⁉︎バカな……あれはただのフォーク!あんなもので切れるほど脆いのか⁉︎我輩の触腕は!」

ルーはダイオウイカの顔面目掛けてフォークを向けながら落ちてくる!ダイオウイカは咄嗟に墨を吹いた。

「やばい!!!!!!」

「所詮はカンガルーだ!!!!!!」

もうダメかとその時、突然蛸足が飛んできた。ルーはその蛸足を踏み台にし、もう一度低くジャンプした。

「は⁉︎蛸足⁉︎」

「ナイス!蛸足!」

グサッ

「グワァァァァァァァァ、痛えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……!」

バシャァァァァァァァァァァァァァァァァン

ダイオウイカが海の底に沈んでいった。

「ありがとう、ミズダコ!」

「感謝なんていらない。拙者の責任だ」

先程の蛸足はやはりミズダコだったらしい。

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