第10話 喰うか喰われるか

メガトンヒポポタマスはまた勢いよく高く跳んだ。

「⁉︎……雲に隠れるほど跳んでたのか⁉︎やば……」

と思ったのも束の間、気づいた時にはルーの真上にいた。

「え⁉︎」

とてつもない対応力で横に避けたルー。メガトンヒポポタマスはまた怒った。

「…⁉︎何故だ!何故貴様は潰れてない!流石に今のは潰れていた!!!!!!」

「………でも、潰されるわけにはいかないんだよ!」

「儂は貴様を捕食しようとしているだけなのにも関わらず…。これだから今のガキは」

「………」

メガトンヒポポタマスは急に高速でタックルしてきた。流石のルーでもあの巨体で、あの速さには避けきれなかった。

「痛え……………」

「グォォン……さらばだ!!!!!!!!!!!!」

また跳び上がり、押し潰し……。

「……なんとか致命傷を与えなきゃ!」

ルーはまた横に避けた後、メガトンヒポポタマスの顔まで跳び上がり、眼球を蹴ろうとした。

「餌になる気か!!!!!!」

彼は素早い旋回せんかいで大口を開け、ルーのいる位置に舌を伸ばした。

「⁉︎⁉︎負ける!!!!!!……死ぬ!!!!!!!!!!!!」

とうとうルーは舌に捕まってしまった。唾液が足を包み、離れない。接着剤で止められたかのような感覚だった。

「⁉︎……捕食される!!!!!!…そうだ石」

ルーは舌に石を投げつける。しかし唾液は衝撃を吸収するらしく、メガトンヒポポタマスには全くダメージが入ってないように見えた。まず、こんな小さな石では無理だろう。

「ルーさん!!!!!!」

「ルー!!!!!!!!!!!!」

ティアたちの声もどんどん遠くなっていく。

「(何か作戦は…!抜け出す方法は!)」

ルーは辺りを見渡した。どこもかしこも歯と唾液だらけ。だんだん薄暗くなっていく。もうダメかとその時、真っ暗になる直前に、喉の奥に何かが見えた。

「(口蓋垂こうがいすい!!!!!!あれをどうにかすれば!!!!!!」

まだ口蓋垂が見えていた頃を思い出して、狙いを定める。石を投げつけるためだ。

「ここだ!!!!!!!!!!!!」

いつもより力いっぱい石を投げた。

ズキュゥンンンンンンンン

「グワァェォン⁉︎なんだ⁉︎⁉︎」

流石のメガトンヒポポタマスも、いきなり攻撃され、さらには口蓋垂には粘着力のある唾液が流れていないこともあって、口内のものを唾液とともに吐き出した。

「よっしゃ!!!!!!!!!!!!」

「あ、ルーさんっすよ!!!!!!」

「本当だ!!!!!!」

ルーは空中でメガトンヒポポタマスの舌に石を落とした後、急降下して石に乗った。踏み台にしてより高く跳ぶためだ。

「なんだ⁉︎」

「これでおわr」

「そうはいかん!!!!!!」

メガトンヒポポタマスの口内から悪臭が!嗅がなくても、ぶつかるだけで悪臭だとわかるほどのものだ!

「うっ!目が!目を開けられない!」

「油断したな!死ね!!!!!!」

彼はまた吸い込みはじめた。先程のものよりも吸引力と範囲が広くなっている。

「う!今度は逃げきれそうもない!」

「ルーさn」

周りの声も途切れそうなくらいの暴風で、台風と同程度だろう。そんなもの空中で受けてはひとたまりもない!

「(せっかく抜け出したのに!)」

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