第9話 捕食の神

「グォォン、グォォォォォォォォォォォン!」

カバは真下を見た。そこにはテンプルがいた。途切れた神経を持っており、なんとか逃げようと、必死に羽を動かしている。心臓を貫かれて、もうすぐ死ぬのは彼自身も分かっているはず。なのにも関わらず、逃げようと必死だ。

「やばい、恐れていた事態が起きた。喰われる前に融合し直せば……」

「……グォォン、お前、美味うまそうだな」

「ヒッ!!!!!!」

カバは低い声でテンプルに話しかけた。

「滅相もない…。私は不味いぞ…。毒がある」

「儂は毒の辛みが大好きなんだ。お前を喰う」

「チッ、せめて瓦礫に融合すれbァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

テンプルはカバの長い舌に捕まり、丸呑みされてしまった。舌は唾液でドロドロで、一度捕まったら逃げる事は出来なさそうだ。

「うわぁ………怖っ」

「目が、目が怖い……」

瓦礫に隠れて、様子を窺う4匹は恐怖で体が動かない。

「カンガルーと鹿と狐の匂い……」

カバはじゅるりと涎を垂らす。相当空腹らしい。やがてカバは高く跳び上がった。

「なんだ⁉︎」



ズドォォォォォォォォカァァァァァァァン

いきなり4匹の目の前に現れたカバ。とてつもなく高く跳び上がって、目の前に着地したのだろうか?

「いた…………………………喰う」

「やばい!!!!!!」

カバの口内から悪臭とともに巨大な舌が出てきて、地面を舐めとった。4匹はギリギリで回避できた。

「………なんだと……」

舌が出るスピードは結構遅く、神殿を倒した4匹には脅威にはならなかった。しかし、凡人ならすぐに捕まってしまうだろう。

「(以外と大丈夫かな?)」

「うわぁ…めちゃくちゃデカいっすね。あんなん倒せるんすか?」

「やるしかないだろう!!!!!!」

「流石兄貴っす!!!!!!」

「(あのカバひどく空腹なんでしょうか?ただ空腹のわりには大ジャンプを軽々と行う。となると、実はそうでもないんでしょうか?)」

「逃げるな餌どもめェェェェェェェェェェ」

カバの低くうるさい低音が鼓膜を破ろうとする。ルーは怯えながらも前へ出る。

「ルーさん!!!!!!」

「大丈夫!うまく説得してみるから!」

ルーはカバの元へ駆け寄る。そして、優しく問いかけてみた。

「君の名前は?なんで僕らを食べようとするの?よかったら仲間にならない?」

「…………メガトンヒポポタマス。何故捕食するか?………知らん、仲間にもならん。とにかく喰いたいんだよオメェらを!!!」

メガトンヒポポタマスはまた巨大な舌を出す。ルーは高く跳び上がって避けた。

「…⁉︎儂の舌を避けるとは。…しかし、空中でこの攻撃は避けられない!!!!!!」

メガトンヒポポタマスか大きく口を開けると、息を吸ってルーを吸い込みはじめた。

「⁉︎す、吸い込み⁉︎」

ルーは範囲から出ようと回転しながら横に移動するが、もう目の前にはメガトンヒポポタマスの前歯が見えた。

「食べられる!」

ルーは最後の悪あがきに、前歯に着地した瞬間に前歯を勢いよく蹴り、口元から離れた。

「⁉︎………貴様、儂の攻撃を掻い潜るとは、随分と生意気な小僧だ。骨のずいまでしゃぶってやる」

「君がその気なら、しょうがない。ティア!フォッキー!フォク!隠れてて」

「⁉︎……いやでもルー、1人で勝てるのか⁉︎」

「しょうがない!この勝負は僕が売っちゃったんだ!僕が片付ける!!!!!!」

ルーは石を構えた。

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