金の蝶【試作】
紫光なる輝きの幸せを
金の蝶(試作)
最初に見たのは中学生の頃。
両親の寝室。
夜中にのどが渇いてキッチンで水を飲んでいるとお母さんの苦しそうな声が聞こえた。
心配になって部屋の扉に手をかけた時にひときわ大きな声に驚いてドアノブを回す手を離してしまって中途半端に開いた扉。
隙間から垣間見える行為は、もう学校で習っていたから何を意味するのかは理解できた。
でも私の目を引き付け興味を惹いたのは、お母さんに出入りするお父さんの根元に光り羽ばたき揺れる金の蝶。
薄暗闇に光る金の蝶はとても美しかった。
意味も理由も分からないまま私は濡れる、と言うことを知った。
次に見たのは高校生の頃。
夜の公園のベンチ。
塾で遅くなった帰り道。近道をしようと暗い公園を通るとベンチに座ったスーツの男性の上にやっぱりスーツの女性がまたがっていた。
いちゃいちゃしていると寒くないのかな、と思っているとタイトスカートの裾に何か見えたような気がして私はじっと目を凝らす。
スーツの女性の腰の動きが前後から上下になってスカートがずり上がり見えた薄桃色のお尻の間に光り羽ばたき揺れる金の蝶。
行為そのものではなく見え隠れする金の蝶の姿にそれまでに経験したことの無い激しい興奮を覚えた。
その日から私は自分でする、ことを覚えた。
そして今。
快感を与える小刻みな振動に腰をよじり、手で角度を変えてより深い快楽を得ようと身悶えする。
一番敏感な場所に吸い付くその根元には光り羽ばたき揺れる金の蝶。
私は金の蝶を手に入れた―――
金の蝶【試作】 紫光なる輝きの幸せを @violet-of-purpure
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