第3話 恋愛描写が書けない理由~非モテ女子暴走の末路~

 私が小説を執筆する上で最も苦手というか、書けないのが「恋愛描写」だ。


 めげずに幾度もチャレンジを試みた。しかしこればかりはどーにもならない。


「才能なし」と言ってしまえばそれまでだが、小説においての恋愛需要が高まっている昨今、何としても克服したい思いから、過去の作品を見直してみた。


 最悪だった……見なきゃよかった。


 異世界恋愛より『この想いを胸に抱いたまま、海の底へ沈みたい』 

 一生沈んだまま、二度と再浮上しないで欲しい。


 現代恋愛より『眠りたいのに、あの人の声が耳から離れない!』

 どっかで聞いたよーな台詞。いや、歌詞か?


 SF恋愛コメディ? (もはや読み返す気すら起きない)より『お願い、○○エモン!』

 まさかのロボット頼み……。


 吐き気がする台詞と描写のオンパレードだった小説達を、私は迷わずシュレッダーに吸い込ませた。



 向いていないにも程がある……しかし、どうして書けないのだろう?


 答えは、考える必要もない。

 私の「超肉食系恋愛主義」が全ての要因だ――。



 私は好きになった異性に対し、全身全霊で気持ちを押し込むタイプだ。

「灼熱の思い」をウザさ満点でアピールする為、フラれる確率は一般女性よりかなり高かったと思う。


 でもそれは、決して無駄ではなかった。

 

 殿方に何度フラれようとも何度裏切られようとも立ち上がり、最後はある男性に詰め寄った結果(プロポーズ? 何ソレ?)、奇跡的に結婚までこじつけたのだ。


 被害者(現・旦那)との出会いは、異性間交流会(合コン)なのだが「かなり強引で、初めて遭遇する生物(女)だった」と、後に彼は証言している。


 まだ交際まで至っていない1回目のデートから、彼の休日やスケジュールを把握しようとしたり、毎日のメールや電話は当たり前……今思い返すと自分自身に恐怖さえ感じるしつこさだ。


 このような努力? の甲斐もあり、どうにかお付き合いに成功!

 

 しかし問題はここからだった――。



『しばらくは好きになれなかった』


 そんな彼の内心を知らない当時の私。複数の下着を新調し、友人や家族にまで「今日は帰らないから!」とマウントをとって、意気揚々とデートへ出かける。


 そして毎度キッチリ深夜0時――私は自宅へ送還された。

 シンデレラかよ……つか、返すな! 王子っ!


 交際数ヵ月……つまらん逢瀬が続き、我慢しきれなかったであろう私が発した誘い文句は「とりあえず一発」だったらしい。


 この発言に彼はドン引きしたと言うが、私は一切覚えてはいない。きっと彼の覚え違いなのだと今も信じている。



 とにかくこんな女が、恋愛の駆け引きとやらを想像できるわけもなく、未だ「通常恋愛」を理解していないのが現状だ。


 本当に誰か教えて欲しい……。


 諦めて最近はSF戦隊モノだの現代社会を皮肉った恋愛もどきのファンタジーモノだのを書いているが、いつの日かこんな私にも、まともな恋愛モノを書ける日が来るのだろうか?


 多分ない気がする……。

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