第4話 クイイジ/梨穂子のお腹が気になる

○茶道部部室・居間(夜)


梨穂子

「……わ、外が暗くなってる。」

「集中してるとあっという間に時間が経っちゃうね。」

「ここらへんで休憩しよっか」


   #梨穂子、主人公の背中から離れて、こたつの向かい側に移動。


梨穂子

「はー……おこたあったかい……!」

「どてらも着てるから、全身ぬくぬくだよ~。

「《どてら姿もかわいいなあ!》って……そう言われてうれしい子はいないと思うよ?」


「それに、そんなフォローじゃさっきのイタズラは許さないんだからね~!」

「あのあとは、真面目に練習してくれたから良かったけどさ~……。」

「《梨穂子のためだから当然だ》って……だったら最初からイタズラしちゃダメ~!」


「テストまでに、もっともっと上手にならないとなんだから。」

「《練習してみた手応え?》」

「うーん……悪くはなかったんだけど、それでもまだまだかなーって。」


「もっとすごい二人羽織を見せないと、先輩たちは認めてくれないと思うんだ。」

「うう……もし不合格だったら、夢のエゾバフンウニ味が~……。」

「え? 《そんなに食い意地張ってると、また太るぞ》……?」


「……ふふっ……ふっふっふっふー! そんな言葉は効かないよーだ!」

「今の私は、あなたが知ってる昔の私とは違うんだからね~♪」

「え?、なんでこっち近づいてくるの?」


「《どう違うか確認……》ってそんなことしなくていいよ~。」

「わー! おなか触っちゃダメー! 部室でそういうことするの禁止ー!」

「それに、触らなくてもちゃんとわかるでしょ! 私がダイエットに成功したって!」


「……あれ? なんでそんなに不思議そうな顔してるの?《 違いがわからない……?》」

「そんなことないでしょ! ほら、ほっぺたとかも少しほっそりしたし!」

「むー……まだ疑ってるね……! それならちゃんと見せてあげる!」


   #梨穂子、服を少しまくってお腹を見せる。

   SE 布擦れの音。


梨穂子

「ほらほら、お腹もだいぶしゅっとしたんだよ。見たらよく分かるでしょ?」

「おへそのラインとかも綺麗に出てきてるし!」

「……ん? また不思議そうな顔して、どうしたの?」


「《触られるのはダメだけど、見られるのはいいのか?》って?」

「そりゃそうだよ~。見せるのと触られるのじゃ、ぜんぜん違うもん。」


   #梨穂子、小声で。


梨穂子

「それに、あなた相手だと、余計に……。」

「って、なんでそーっと腕伸ばしてるの! お腹触ろうとしちゃダメだってば~!」


   SE 梨穂子のお腹の音(ぐ~的な)


梨穂子

「ひゃっ!? なんでこんなときにお腹の音が……。」

「《梨穂子らしいな》って、そんないい笑顔で言われてもうれしくないよっ!」

「むむむ~……やっぱりまだダイエットが足りてないのかな……。」


「《どんなダイエットしてるか?》 特別なことはしてないよ?」

「ジョギングとかスクワットとか、そういう運動を毎日続けてるの。」

「《腹筋運動はどうだって》? うーん……実はあんまりしてないんだ。」


「腹筋って、ひとりでするとうまく出来ないんだよ~。」

「身体起こそうとすると、足がぴょんって上がっちゃうの。」

「だから、どうしても後回しにしちゃって……」


「あなたも、やっぱり腹筋もしたほうがいいと思う?」

「へ……」

「《このままのお腹もいいけど、もうちょっと引っ込んだのも見てみたい……》?」


「もー! そういう変なこと言う人には、もうお腹見せてあげない!」

「確かに、いつもと違う運動したほうが、ダイエットにいいとは思うけど……。」

「え? 手伝ってくれるの? 足が上がらないように押さえておく?」


「それなら、試しにしてみよっかな……」



《第5話へ続く》


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