35話  お話の勝手口 登場人物の名前がかぶる

 『白月を巡る騎士たち』という、Mの書いている物語。

 https://kakuyomu.jp/works/16817330647852513230


 オチもなく、ヤマもなく、12万字を超えて連載中である。


 12万字というのは長編コンテスト応募の、よくある上限ではないか。

 〈書ける方〉というのは、1ヶ月くらいの期間で12万字ほどの物語を公開し、読者をつかんでいる気がする。

 この、12万字ほどに収めていくというのが、プロっぽいと思う。


 『白月を巡る騎士たち』は、心にあたためていた話だ。

 今まで読んできた、観てきた、物語へのふざけた話憧憬となっている。


 別に急いで文字にする必要はなかったが、このサイトで、登場人物の名前が同じ物語を発見してしまった。

 感性が似ている人は存在する。でないと、その漢字、合わせない。

 見てしまったからには、早急に自分の物語を公開したかった。その登場人物の名前は、物語のおふざけ根幹に関係していたので、変えたくなかった。

 「私の物語の登場人物の名前は、あなたの物語を見る前から考えていたもの」という証拠はない。公開することで、公開日が刻印される。誰への言い訳なのか、自分への言い訳。


 Mは、登場人物や土地の名付けにこだわる。それを考えているときが楽しい。

 いちおう、世界の言語を参考にし、言葉の意味をたしかめて、名付ける。

 こだわっていると鼻の穴を大きくして主張する。そのわりに世界観は、「大陸です」の一言ですませている。


 そして、プロローグとエピローグの風景、ふたつ、みっつ、よっつのエピソードしか頭にない状態で、公開しはじめる。

 プロになれない所以ゆえんである。

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