Mさんの知らない世界
ミコト楚良
1話 テンプレ
Mは、つまるところ現実逃避のため、ネット小説投稿サイトに登録した。
ひっそりと活動することを指針としているが、反応をいただいたりすると、伝えたくなる「ありがとう」。
だが、交流するのは早い。
ネットにて交わされる言葉、その言葉が、Mには、しばしばわからないからだ。
ある年、Mにとって一大事な年だった。
Mの家の若君は、受験生だった。ころなのせいで、ほとんど城(一般住宅)にいる若君。
この若君を1年、ふぉろーしなければならぬ。
それでなくても、「母上、わしは、しなりおというものを書いてみた。読んで」とか云う少年である。
「
若君は、文筆というものに憧れているようだった。
「ネットで小説を書いている友がいて、けっこう評判がよい」と言う。
その頃、ネットを
つい、Mは、ぽちっとして、その漫画を読んだ。試し読みした先が気になった。漫画の先ではなく原作が気になる。
探したら、ほぼ一強、小説投稿サイトにたどり着いた。
そういう原作を読むということを、日々の娯楽にして、ある日、Mは気づく。
「やたら、トラックに
最初は、同じ人が書いた作品かと思った。
トラックに
「テンプレだから」と若君が言う。
「てんぷれ?」
はい、出た。Mさんの知らない世界……。
〈告知コーナー〉『月と逃げる』 byミコト楚良
https://kakuyomu.jp/works/16817139557273729884
時代・歴史・伝奇カテゴリの短編
姉の子供たちと城から逃げ出す女子のお話
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