鞭編(八)

「ようクリス。待ってたぜ」

 待ちに待ったブツが届いて、俺は最高に機嫌が良かったんだが、クリスはなにかを察知したのか不機嫌な顔になった。

「先生、なにか良くない事企んでるでしょ?」

 そりゃ一年も付き合ってりゃ、俺の性格もある程度は分かって来てるだろう。

 俺は箱から、今日届いたばかりのブツを出した。

「痕が残らねえむちを買ってみたんだ。画期的だろう?」

 クリスがあからさまに嫌な顔をする。

「機械を鞭を打たれた時の痛みに設定してよ、これでお前を打つんだ。最高に気持ちいいだろうな」

 クリスは俺の手から鞭をひったくろうとしやがった。

 まあ、ガキに盗られる程俺も馬鹿じゃねえ。

 逆にクリスの手を取って引き寄せると耳元で囁いた。

「なんだ? 早く試してみてえのか? 試してやるから早く服脱げよ」

 クリスにキツい目で睨まれてゾクゾクする。

「嫌だって言ったら?」

「これは授業だ。言う事を聞け」

 俺は魔法の言葉を吐いてクリスを解放した。


 クリスは嫌々なんだろうが、大人しく全裸になった。

 こういうところは素直で可愛いんだよな。

「今日はな、機械で痛みを受けつつ、こいつで打たれるのに耐える授業だ。機械では味わえねえような屈辱が味わえそうだろ?」

「変態!」

 クリスがスネを蹴ろうとして来やがったから、俺は足を掴んで転がした。

「俺にとって変態は褒め言葉だ」

 キツい目で睨みつけてくる美人をいたぶるのは、本当に心躍る瞬間だ。

 白い肌を鞭で打つのを想像しただけでイキそうになる。

 これで痕がついたら文句なしに最高なんだが、まあそこは授業だから我慢するしかねえ。

 機械を鞭で打たれた痛みの最高レベルに設定にしてやった。

「電源入れるぞ」

 これだけの痛みを与えても目が死んでねえのはさすがクリスだ。

 見た目も性格も全て俺の好みだ。

 俺は手に持った鞭でクリスを叩いてみた。

 風を切る音も、叩いた時の音もかなりリアルだが、傷が全くついてねえ。

 こんないいいもんがあるって知っていたら、もっと早くから楽しい思いが出来たのによ。

「クリス。鞭で打たれる気分はどうだ?」

 クリスは相変わらずキツイ目で睨んで来やがる。

 こいつのすげえところは、どんな目に合わされても、絶対に相手に屈服しねえところだ。

 どんなに辱めを受けても、こいつのプライドには傷一つ入らねえ。

「気持ちいいか?」

「まさか。先生も打たれてみるといいよ」

 心無しか声が震えているのは、痛みを耐えているからなんだろう。

 こんな時でも、減らず口を叩いていられるクリスにゾクゾクする。

 興奮しすぎて鞭を打つ手が止められねえ。

 クリスの肌に赤い筋が出来る。

「たまんねえ」

 俺は興奮して自分を抑えられなくなった。

 もう、クリスに怪我をさせちゃいけねえとか、そんなもんはどっかに飛んじまっていた。

 そのまま、慣らしもせずに滅茶苦茶に虐め抜いた。


 何回戦か終わって、やっと俺も落ち着いた。

 そこで、自分がやらかしちまった事に気付いた。

 クリスの白い肌にはいく筋もの赤い線が入っていて、後ろも傷ついていた。

「すまん」

 俺は謝りながら機械の電源を切る。

 クリスは肩で息をしながらも、すげえ目でにらみつけて来やがる。

 こんな目で見られたら、また俺の理性が飛びかねねえ。

「クリスやめろ。その目は俺にはご褒美だ」

「変態」

 クリスが手元にあった鞭を投げつけて来た。


 クリスも落ち着いてから、自分の体を見たみてえだ。

「痕ついてる」

 クリスの周りの温度が下がった。

「先生やり過ぎ」

 クリスが服に袖を通す。

「これは、最早もはや授業ではないよね?」

「すまねえ。ちょっと趣味に走っちまった」

「じゃあ、次回は僕が先生になるよ」

 クリスは、俺の背筋が凍るような冷たい視線を送って来やがった。

「あまり切れないびたノコギリが次の教材なんでよろしく」

 有無を言わせずそう言うと、教室を出て行っちまった。

 絶対あいつ次、ノコギリ持って来るな。

 つうか、あいつの柄物えものの選択やべえだろ。

 拷問される気はさらさらねえが、俺は身の危険を感じた。

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