続・注射編(七)

「前回好評だったから、今日も注射行っとくか」

 俺はそう言って、昨日使ったのと同じ奴を用意した。

 快感が十倍になって効力が続いている五時間は気を失う事が出来ないが、副作用や常習性はないという代物だ。

 昨日使った時のクリスの乱れ具合が半端なかったので、今日も授業中楽しませて貰おうという算段だ。

「それ絶対にやめて。頭がおかしくなる」

 クリスが全力で拒否して来る。

「昨日は随分気持ちよさそうだったじゃねえか」

 俺の下でよがるクリスがまた見れると思うと、顔がにやけるのが抑えられねえ。

「もう無理。本当にやめて」

「生憎だが、授業だからな。拒否権はねえよ」

 職権乱用と言われても構わねえ。

 今日はこれだけを楽しみにしていたと言っても過言じゃねえからな。

「じゃあ先生自分で打ってみてよ。僕が言ってる意味が分かるから」

 クリスがこっちをにらんで来やがった。

美人に睨まれるのは本当に堪らねえ。

 ゾクゾクするなんてもんじゃねえ。

「俺が打ったらお前はなにかしてくれるのか?」

 まあ、どれ程気持ちいいもんかは知らねえが、普通に俺が犯すだけじゃ面白くねえだろ。

「じゃあ、僕が先生をいかせまくる!」

 クリスがやる気に満ち溢れている。

「お前が入れてもたぶん感じねえぜ?」

 俺がそう言うとクリスが首を横に振った。

「入れるのは先生の方。そして、僕が動く」

 これはなんのご褒美だ?

 こんなもん断る理由がねえ。

 授業としてはどうかと思わなくもねえが、まあ相手を籠絡ろうらくする練習というのもありかもしれねえ。


「じゃあ俺が打つからあとは頼むぜ」

「服を脱がせるの大変そうだから、先生、最初に脱いどいて」

「分かった」

 俺は服を脱ぐと自分の腕に注射を打った。

 俺が脱ぐとクリスも服を脱ぎ始める。

 そして、ローションつけてじっくり慣らしていく。

「堪らねえ光景だな」

 俺の股間が大きくなる。

 その時、俺の手が自分の股間に少し当たった。

 たったそれだけで、快感が脳天まで突き抜けた。

 待てよ、まだなんもしてねえんだぞ?

 気持ちいいのは大歓迎だが、これはやばそうな予感がする。

「先生の気持ちよくなるポイントは把握済みだから、覚悟しておいて」

 クリスは黒い笑みを浮かべると、俺の股間に顔を埋めた。


「待てクリス。薬の所為もあるだろうが、その動きは絶対今までと違うだろ?」

 とんでもねえ快感が突き抜けるのはいいとして、こいつの舌の動きが絶対に今までと違う。

「言ったでしょ? 把握済みだって」

 クリスは口を離すと妖しく笑った。

「手え抜いてたのか!?」

「だって授業で本気を出す必要はないじゃない」

 クリスはそう言うとまた舐め始める。

 俺はその舌の動きにやられて、ものの一分もしない内にいっちまった。

 まだ入れてもいねえという事実に戦慄せんりつを覚える。

 気持ちいいのは構わねえんだが、このまま続くとこれは本気で頭がおかしくなりそうだ。


 俺が快感でクラクラしていると、クリスが俺の上に股がって来やがった。

 やばい。

 まだクリスは動いてもいないのに本気でやばい。

「ねえ。今どんな気分?」

 挑発するように言いながらクリスが動く。

 間違いない。

 こいつ今まで猫被っていやがった。

「待て! 動くな!」

 叫んでみたが間に合わず、俺は瞬殺された。

 薬だけでもかなりやばい。

 しかし、これは薬の所為だけじゃねえ。

 本気のクリスがやばすぎる。


「先生もっと頑張ってよ。僕は昨日もっと頑張ったけどな」

 クリスの笑みが怖い。

 俺は自分から動いて快楽を貪ろうと思っていたが、それどころじゃねえし、もうこのままクリスに身を委ねておきたい気分になっちまってる。

「ねえ? もっと気持ちよくなりたい?」

 クリスが誘うように笑う。

「気持ちよくなりたいなら、お願いしてみてよ」

 黒いクリスが降臨していやがる。

 俺にもここで負ける訳にはいかねえという矜恃きょうじがあるが、そんなもん守っていられねえ。

「頼む。もっとやってくれ」

 俺の言葉にクリスが妖艶に笑った。

 これがクリスの本性か。

 九歳でこれとか本当に末恐ろしいな。

「じゃあ動くよ。先生がいつまでもつか楽しみだ」


 あわよくば押し倒そうと思っていた、自分の浅はかさを呪った。

 この薬は本気でやばい。

 それにも増してクリスがやばい。

 とんでもねえ程気持ちよくて、何度も天国にいっちまった。

 ここまで気持ちいいとある意味暴力だ。

 俺はクリスに搾り取れるだけ搾り取られた。

「どう? 僕の気持ちが分かった? あと、服で擦れただけでつらいから、薬が切れるまで地獄が続くよ。頑張ってね、先生」

 クリスが勝ち誇ったように言った。

 そしてクリスは時計を確認すると、にっこりと微笑む。

「もうすぐ終業の時間だ。先生、一緒にシャワーを浴びようか。僕が体を洗ってあげるよ」

 俺にはクリスの微笑みが悪魔のそれに思えた。

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