第24話 爆炎の巨乳。爆乳。




 ――凍り付いた集落が、風に揺られピシピシと音色を奏でる。


 そして数分後、彼の浮上の気配を感じ、ラヴィナが口を開く。


「……決まりましたか?」


「ああ。……だいぶ早い気もするが、ダンジョン攻略といこう」


 目を開けたカズナは口角を吊り上げ、獰猛に笑った。


「……理由を聞いても?」


「おうよ。まず、戦力的に俺たちが確実に勝っているこの好機を、逃したくない。

 それに、周りにダンジョンがあれば、来る人間の数も減少する。養分を分け合う気は毛頭ないからな。……神様もそれを望んでるだろうし」


「神、ですか?」


「ああ。こっちにくる前、神が最後に言った言葉は、ダンジョンマスター同士の殺し合いを推奨しているように聞こえた。

 ずっとそれが引っ掛かってたんだが、改めて考えてみると、そんな難しいことでもなかったんだわ」


「……蠱毒、ですか?」


「ハハっ、流石だな!そう、蠱毒だ。神は100人規模のダンジョンマスターの中で、蠱毒をしたかったんだろうな。

 こんな化物染みた力を持った奴が100人もいちゃ、逆に人類が滅びかねない」


 同郷の人間と殺し合うのに思うこともあるが、今回戦うのは自分じゃない。他力本願万歳。


 ラヴィナも頷き、覚悟の眼差しでカズナを見つめる。


「分かりました。しかしカズナ様、戦力的に勝っているというのは、少々訂正させて頂きたく」


 彼女とて、ダンジョンマスターが本来途方もない強さを持っていることを知っている。自分の力がどれ程通用するのか分からないが、油断するには危険すぎる相手だ。


 しかしその反論を聞いたカズナはニヤリと笑い、


「いや、たぶん間違ってないぜ?」


 迷宮素を全て注ぎ込み、魔法陣を起動、スキルを発動した。



 望は、絶対的、圧倒的なまでの破壊の権化、それただ1つ。

 あ、美女美女美女!びっじょびじょな美女‼︎



 漆黒の輝きを放つ陣が爆発的に膨張し、天井を吹き飛ばし天へと伸びる。


 瞬き、収縮し、収まったそこに、


 ……跪く彼女がいた。




「王よ、わらわを召喚してくれたこと、嬉しく思うぞ」




 見惚れる程美しい美女が、豪奢なドレスを着飾り笑いかける。


 しかしその全身は赫赫としたマグマで形成され、ひるがえる炎のドレスが、凍った周囲一帯を瞬く間に溶かし、焼き焦がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る