第17話 エルフ



 数刻前。


 遠方で空に漆黒の光が登っていくのを見た彼らは、急遽調査隊を組んだ。


「兄者、あれ何だと思う?」


 隊の1人が、大樹の枝を軽やかに蹴りながら、質問を投げる。


 その背中には弓が背負われ、髪を突き抜け長い耳が風を切っていてた。


 彼らはエルフの実働部隊。

 このアデルの大森林に住まう、守り人である。


「分からん、あんなもの見たことがない」


 兄者と呼ばれた隊長格のエルフは、空中を飛翔しながら顎に手を当て考える。


 最近はモンスターも消え、この森に訪れる者も減っていた。


 冒険者に紛れこむ不埒な輩も大分減ったがしかし、未だエルフは裏のマーケットで高値で取引されている。


 奴らはゴミ虫だ。ゴミ虫はどこにでも湧く。


「……何があるか分からん、お前達も気を引き締めろ」


 彼の忠告に、隊員が短く返事をした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る