シュークリームスターズ

雨解睦月

さあ、バイトを始めよう!




第一話 シュークリーム好きな男


 俺は、薄茶 湊(ウスチャ ミナト)。椿高校に通う高校1年生。俺は、これと言って特に特徴がない性格だし、頭も運動神経も別に良くない。そんな俺だが夢中になれるものがある。


それは...


「いらっしゃいませ」

女の店員さんの声がコンビニ内に響く。


スイーツコーナーにあるシュークリームだ。

俺は、シュークリームが幼い頃から大好きで、将来シュークリームだけを販売する店を持ちたいと思っている。その為に、俺は今、高校を頑張っている。


「いらっしゃいませ、シュークリームが5点で660円となります」

「1000円で」

「340円のお釣りです。ありがとうございました〜」

俺は、自分で持ってきたトートバッグにシュークリームを入れ、コンビニから出た。正直、俺はもうシュークリーム依存症だとわかっている。辞めたいけど、辞めれない。


   


***

「お兄ちゃん!」


こいつは、妹の木通。たまに喧嘩することもあるが、俺にとっては自慢の妹だ!

「シュークリーム買ってきたから1個食うか?」

「うん!ねえ、お兄ちゃん...志望校のことなんだけど、私立だとお父さんに迷惑かけちゃうかな」

妹は、現在中学3年生で、昔から絵を描くことが大好きで美術の道に進みたいみたいだ。俺も父もそんな木通の夢を応援したいと思っている。

「そんな事はない!もし、私立行きたいなら、俺がアルバイトしようとか思ってるし、お金の面はなんとか大丈夫だろ!」

「そうかな、なら良かった!私、勉強頑張って、芸術科のある高校行って、就職してお父さんとお兄ちゃんが少しでも楽にさせてあげれるように頑張るね!」

「俺は、別にいいからお父さんを楽にさせてあげてほしい」






***

「木通がそんな事を...。芸術の高校へ行かせてあげたいんだけどな」

「どうか、行かせてあげてほしい!」

「湊は、調理学校へ進学したいんだろ?」

「どうしてそれを?!」

「俺だからわかる。だって、湊はいまだにシュークリームが大好きだもんな。」

いまだに俺がシュークリーム大好きなことを父親に見透かされていたとは。でも、恥ずかしい気持ちもあるが、同時に嬉しい気持ちもある。

「だから、その、俺...妹の高校進学のためにも、バイト始めたい!!」

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