第22話 忘れ物

 誰しも、忘れ物をする時はある。


 小学生は、特に忘れ物をする事が多い。


 忘れ物をしても、取り返しのつく物ならいい、


 教科書や筆記用具は、他の子に借りればいいし、宿題は怒られるけど「明日持ってきます」でいい。

 

 だがその日、校門の前まで登校してきて、私は取り返しのつかないブツを忘れてきたことに、はっと気づいた。


 検便!


 集団登校の班長に見とがめられる前に、私は身をひるがえした。


 飛ぶように走った。これまでにない速さで走った。


 今朝けさ、あんなに苦労して産んだ、ブツを忘れるなんてっ!


 しかも今日が、提出最終日っ。


 家まで走って、ブツを取り、母の「おまえはアホじゃ」という声を背中で聞きながら、学校まで走りぬいた。


 集めたブツを入れたかごを持って、保健室に行こうとしていたクラスの保健係を呼び止め、私のブツを加えてもらった。


 黄帽のゴムを首にくいこませ、ゼェーゼェー、とざんばらがみで荒い息をつく私に、保健係はおびえていた。


 皆さんも、忘れ物には気をつけよう!


 忘れ物は、クセモノ! である。

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