第18話 アイドル

 可愛くて、綺麗なアイドルが大好き、という人はたくさんいる。


 私も、可愛くて綺麗なものは好きだ。


 ただ、読書好きだったせいか、いくら見た目が良くても、私の心を動かす背景ストーリーがないとファンにはなれないたちだ。


 逆に、見た目が特異でも、心を動かす背景ストーリーがあればファンになれる。


 学生時代、教室で友達が輪になり、自分の好きなアイドルの写真(当時スマホはないので、紙です)を見せあって、きゃあきゃあ楽しく騒いでいた。


 私もその輪の中にいた。


 友のひとりが、私に「あなたの好きなアイドルの写真をみせて」と言った。


 当時私は、初期のスタートレックにはまっていたので、ミスター・スポックの写真を出して、見せた。


 耳がとがり、眉の吊り上がった異星人の写真を見て、友人達ゆうじんたちは引いた。


 文字通り、驚愕して、全員後ろへ下がったのだ。


 私は、あ、この中に、スタートレックを知っている者はいないな、と判断して、写真を裏返した。


 裏には、広告宣伝で笑う無難なアイドルの写真がある。


「こっちこっち。これ、切り抜きやし」


 友人達は、ほっとして戻ってきた。


 再びみんなして、このアイドルの目が素敵、髪のカットが素敵、とはしゃいだ。


 長寿と繁栄を!


 私のアイドルは、クセモノ! であった。


 (今は異形いぎょうのアイドルでもOKですよね。うらやましい) 



―――――――――――――――――――*



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 作者は喜んで、愛人ミスタースポックの写真を見せるでしょう。

 読者さまたちはそれを見て、後ろに下がることでまともな人間の証明ができます。


 どうぞよろしくお願いいたします。 m(__)m 

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